ヴィクトリア・アブラムチェンコ氏は、ロシア連邦副首相です。彼女は1975年5月22日にロシアのハカシア共和国チェルノゴルスクで生まれました。1998年にクラスノヤルスク州立農業大学を卒業し、2004年にロシア連邦大統領府直轄のロシア行政アカデミーを卒業しました。1998〜2000年までロシア連邦の土地資源と土地管理の委員会のロスコムゼムに勤務。2000〜2001年にロシア連邦国家機関「土地地籍室」に、2001〜2005年にロシア連邦地籍局およびロシア連邦不動産登録局の副長、2005〜2011年にロシア経済開発省の不動産局副長、2011〜2012年にロシア連邦の州登録、地籍および地図作成のためのサービス機関(Rosreestr)の副責任者をそれぞれ歴任しました。2012〜2015年にロシア連邦農業省の土地政策、財産および国有財産局の局長、2015〜2016年にロシア連邦農業省の副大臣兼国務長官を務めました。そして、2016〜2020年にロシア連邦経済開発副大臣兼州登録・地籍および地図作成のためのサービス機関の所長を歴任しました。2020年1月21日に大統領令により、ロシア連邦副首相に就任しました。彼女は祖国貢献勲章2級を受賞しました。
J(ジャルガルサイハン): こんにちは。番組へようこそ。今日、開催されたロシアとモンゴルの貿易・経済、科学技術の協力活動に関する第23回政府委員会会議がたった今終了し、議事録に署名が行われた。この会議は両国の外交樹立100周年のこの時に行われました。本日、委員会が出した決定は、大規模プロジェクトにとって重要かつ有意義なものになりましたか?これについてあなたの見解を聞かせてください。
ヴィクトリア・アブラムチェンコ: この会議についてご質問していただき、ありがとうございます。私たちにとってとても重要なことであり、協力活動や今後の開発方針を具体的に示しています。今回、私たちはいくつかの大きな共通する課題について話し合いました。限られた環境で委員会会議の前半に協議した最初の議題は輸送分野の開発についてです。
多くの時間を割いて詳細に協議しました。具体的に言えば、「ウランバートル鉄道」合弁会社の発展について話し合いました。ウランバートル鉄道の拡大と発展、これまで実施してきた戦略的政策を超えていくことを願っています。そのためにいくつかの問題、特にウランバートル鉄道会社のマネジメントに関する問題を解決する必要があります。私たちはこれについて詳細に協議しました。
また、インフラおよび他のプロジェクト、道路開発問題についても触れました。これらの問題に関して、ロシアとモンゴル双方の国民の自由な観光を可能にするために、観光分野の資源や可能性について、ロシアの国境に隣接する地域やモンゴルの北部地域との接続関係の発展について協議しました。そしてロシアの国境隣接地域およびモンゴルの当該地域の間に輸送手段が必要であると結論を出しました。
次にエネルギー分野についても協議しました。エネルギー分野は、私たちとって重要な問題です。ロシアからモンゴルを経由して中国へと繋がるガスパイプライン建設の協同プロジェクトの実施が重要であることを再確認しました。そして合意したとおり、このガスパイプライン建設の実行可能性調査(FS)が作成段階で話し合われており、12月上旬に完了することを期待しています。
J: このFS調査は、(ロシア、モンゴル、中国の)3カ国によるものになりますか?
ヴィクトリア・アブラムチェンコ: もちろんそうなります。ロシア、モンゴル、中国の3カ国で実施されるプロジェクトですから。
J: まもなく、モンゴルの大統領はロシアを公式訪問し、ロシアの大統領と会談し、このプロジェクトのFS調査の次の段階について合意するのではないかと国民が期待しています。これについてどうですか?
ヴィクトリア・アブラムチェンコ: はい、そうです。人道的分野をはじめ、先にも言ったエネルギー分野、輸送分野における協力に関するあらゆる問題を、ハイレベルかつ現実的に作成することについて、私と同じポジションにいるモンゴル国副首相S.アマルサイハン氏と合意しました。これは両国の大統領会談の前に、両国が掲げている目的を実際に実行に移していく上ではとても重要です。
J: ウランバートル鉄道について1つ伺いたいことがあります。私は、ウランバートル鉄道がウランバートルを囲む形で鉄道建設を計画していると聞きました。今回の委員会の会議でこれについて話し合われましたか?
ヴィクトリア・アブラムチェンコ: それについては現在検討中であり、最終的な決定が出ていませんが、協議する課題計画には残っています。担当省庁は、ウランバートル鉄道の改革計画を作成する指示を受けています。鉄道で輸送する貨物の流れ、越境した貨物輸送、コンテナ輸送を増やすためにはこの改革はとても重要です。
J: あなたは自身の権限で農業をはじめ、天然資源の利用、エコロジーなど様々な問題を担当しています。これらは、まさにロシアとモンゴルの2国間の協力において大きな資源と可能性を秘めている分野と言っても良いでしょう。私は、ついこの間開催されたロシアの農業および道路建設機械の見本市である「SPETSMASH 2021」展示会に参加し、大型の機械や器具を拝見しました。会場ではそれらに関心を持ち、購入したいというモンゴル人が多くいました。この分野で強調するプロジェクトは何ですか?
ヴィクトリア・アブラムチェンコ: この分野は、私たちの貿易・経済協力分野の1つであり、ロシアとモンゴルの貿易総額に占める農業関連産品の割合は大きいものです。ちなみに、ロシアはモンゴルへの食品輸出を増やすことに関心を持っています。また、モンゴルにとっていくつかの重要な関心分野があります。それは小麦、菜種の種子、ひまわり油、そして菓子類製品です。私たちはこれらの製品の供給量や品目の種類を増やしたいと考えています。ロシアは農業大国になるという大きな目標があります。ロシアにはこの目標を実現するために必要な条件が揃っています。例えば、汚染されていない土壌、水資源、技術力などです。
モンゴルの関心分野に関して、私たちはモンゴルの畜産製品をロシアに供給する可能性について話し合いました。私たちはこの分野を推奨しています。そのため、私たちはこの分野の発展について詳細を作成することに合意しました。その際に1つの条件を提示しています。それは、家畜の衛生や食品安全に関するあらゆる規定を必ず守らなければならないということです。
また、あなたが先程言ったように、これは軽工業をはじめ、畜産業の機械製造を含む包括的な問題です。モンゴルには、ロシアで製造された機械設備、畜産業の機械や輸送機器を購入したいというニーズがあることを先日の展示会で見ることができました。現在、この業界は活発に発展しています。モンゴルにとっては、軽工業製品、例えば、カシミア、絨毯、革製品などをロシアに輸出することが関心事です。私たちもこれらの分野での両国の貿易リソースや可能性を広げるための政策を立案し始めたところです。
今日の委員会の会議で議論された1つの議題は、ロシア国家開発公社からのモンゴルへの融資です。この融資でモンゴルに2つのエレベーターを建設します。
J: 今年、モンゴルは国内の消費を上回る穀物を生産しました。そのため、このようなエレベーターの建設は非常に有益です。あなたは先程言いました。ロシアは農業大国になろうとしており、なりつつあると。今年も、ロシアは他のどの天然資源よりも農産物から多くの収入を得ていると聞いています。これは本当ですか?
ヴィクトリア・アブラムチェンコ: はい、そのとおりです。近年、ロシアの食糧品輸出額は天然ガスによる収入を上回っています。これは私たちにとって誇るべきことであり、この分野を今後も発展させていきます。
J: これは、農業分野でのロシアとモンゴルの関係を拡大させる上で大きな後押しになると思います。
ヴィクトリア・アブラムチェンコ: そのとおりです。また、これは今回の政府委員会の第23回の会議で議論した議題の1つでもあります。現在、ロシアとモンゴルの2カ国は、気候変動問題に直面しています。ロシアの農業地域での干ばつ、豪雨、雹および他の悪天候は、常に被害をもたらしています。今年、私たちは干ばつ対策センターを設置する決定をしました。モンゴル政府はこの取り組みに協力する意向を伝えてきました。これはとても重要な問題だと考えています。この取り組みは、次世代が将来に自信を持ち、食料安全保障を確保できる機会を提供します。子どもたちが自分たちの食料を確保できるようにするためには、今から取り組むことが私たちの義務です。
J: 両国の貿易収支について触れたいと思います。今年、モンゴルのこれらの製品の輸出が増加し、パンデミック前の3分の1にまで回復しました。私は、両国の貿易において、ロシアの輸出とモンゴルの輸入、特に可燃性潤滑材がおよそ80%を占めており、これへのバランスを取る必要があるとみています。この分野で貿易をよりバランスの取れたものにするために、私たちは何に注意すべきですか?何をするべきだと思いますか?
ヴィクトリア・アブラムチェンコ: 私はこれについて以前にも話しました。従来通り、自分たちのより可能性のある分野を発展させる必要があります。言い換えれば、軽工業や畜産業などです。ロシアの消費者にモンゴルの製品を紹介し、その製品の品質について知ってもらうためには、その分野を発展させなければなりません。
J: このほかに、ロシアに供給しているモンゴルの製品において高い関税が課されています。両国政府は、この関税障壁の問題にどのように対処するつもりですか?
ヴィクトリア・アブラムチェンコ: 私たちは今回の会議で関税についても議論しました。現在、周知のようにユーラシア経済連合とモンゴル政府の間で自由貿易協定の締結について協議中であります。今回の会議では、ロシア経済開発省はとても具体的かつ詳細な情報を提供しました。自由貿易協定は、例えば、関税を免除するなどモンゴルの経済に良い数字をもたらすことを具体的に示したデータをもって紹介しました。
J: モンゴルが最初にこのユーラシア経済連合のオブザーバー国になることは可能ですか?例えば、上海協力機構にモンゴルはオブザーバーのステータスで参加しています。
ヴィクトリア・アブラムチェンコ: はい、モンゴルは上海協力機構に長年オブザーバーとして参加していることを知っています。ちなみに、ロシアは上海協力機構へのモンゴルの全面的な参加を支持しています。私の意見では、オブザーバー国としてよりも、メンバー国になることの方がモンゴルの経済に利益をもたらすと思います。自由貿易協定の締結に関しては、今後どうするかについてモンゴルとロシアの専門家たちは、2022年第2四半期に決まると言っています。つまり、現在、この自由貿易協定の締結に関する詳細な課題について両国の専門家たちの間で議論されているということです。
アブラムチェンコ * ジャルガルサイハン