ブロックチェーンは、分散型データベース、日本では分散型台帳技術と言われる。ある一定期間の取引情報を一つのブロック(台帳の1ページのように見える)として、それを時系列にチェーンで繋げていくことからブロックチェーンと呼ばれている。データが新しくできたら、ブロックを増やして新たにチェーンで繋ぎ情報を保存していく。

この仕組はブロックチェーンのネットワーク参加者が協力して支え合っている(P2P)。特定のサーバーを持たないため、攻撃を受けたりデータの改ざんに対して強いと言われる。ある参加者のコンピュータが機能しなくなったとしても、ネットワーク全体は機能し続けるのでシステムは停止しない特徴を持っている。

そして参加者により、追加されるブロック(データ)が正しいかどうかもチェックされる。また既に保存されているデータも改ざんされていないかをチェックする。その際に使われるのが「ハッシュ値」と呼ばれるものだ。ハッシュ値は各ブロックごとに生成される。そして新たに作られたブロックには一つ前のブロックのハッシュ値を含む。ハッシュ値は同一データに対して同じ値が生成されるので、データが改ざんされるとブロック間でこのハッシュ値が合わなくなり、改ざんされたかどうかがわかるようになっている。改ざんするためには、すべてのブロックを同時に改ざんしなくてはならず、それは事実上不可能である。こういった高度なセキュリティ性がビットコインなどに代表される仮想通貨の価値を担保している。

ブロックの構成を見ると、データ、ハッシュ値に加え32ビットの数値(暗号通信のための使い捨ての数値)で構成されている。新たなブロックが追加される場合は、このデータ、ハッシュ値、32ビットの数値からなるブロックが承認される必要がある。この作業をプルーフ・オブ・ワーク(PoW)といい、ブロックが正しいかの検証が行われる。これには膨大な計算が行われる。仮想通貨ではこの計算作業が「マイニング」と呼ばれ、ネットワーク参加者の中で最も早く正しく計算を終了できたものに報酬が支払われる。一時期、日本でも話題になった仮想通貨のマイニングとは、この報酬目的にブロックが正しいことをコンピュータで計算させるということだ。誰よりも早く計算を終えるためにはいくつものコンピュータが必要で、その消費電力も桁違いである。そのため電力が安定して電力料金が安価な場所が良いとされる。モンゴルがマイニングに適していると言われるのは、比較的安い電力料金と”寒さ”からだ(コンピュータは計算をすると膨大な熱を出すので、冷却設備が必須となり、寒冷地の方が有利)。

仮想通貨を支える技術として世界的に広まったブロックチェーンだが、その用途は仮想通貨にとどまらない。不可逆性があることから、既存の金融期間、契約や取引の記録、選挙投票、シェアリングエコノミーなどから、一生の個人データ(出生から出身校、就職履歴から納税記録)まで、その用途はいくらでもある。その反面、利用には個人の利益が守られるための規制が必要となる。

中山拓