2018年の日本のインターネット広告費が1兆7589億円となり、テレビ広告費の1兆7848億円に迫り(電通発表)、今後はインターネット広告が主流となると言われている。この流れは世界でも同じで、報道機関やメディアの収入構造に変化が求められている。

ドイツの統計情報ポータルStatistaによると、世界の広告宣伝費は2010年は3,992億ドルだった。これが年々増加し2019年には5,600億ドルを突破すると予測されている。(下グラフ)

広告市場としては北米大陸が最大で、次いでアジア太平洋地域、西ヨーロッパは3位で、これは北米市場の半分の規模となる。
広告の種類としてインターネット広告は2桁成長を示していて、2018年のインターネット広告への支出は12%増加した。

ゼニス(Zenith, https://zenithmedia.ch/)によると、2019年の世界のインターネット広告支出は3,332億ドルになると予想されている。これを前述の世界の広告宣伝費の内訳としてみると、全世界の広告費の半分以上をインターネット広告が占めることになるようだ。

また国別で2018年と2019年の全ての広告宣伝費に占めるインターネット広告の割合を右上の表に示す。いずれもインターネットが広く国民に使われている国々となっている。日本のインターネット広告がテレビ広告に肉薄しているといっても、広告全体の27%弱なので、いかに世界各国ではインターネット広告に資金が流入しているかが分かるだろう。

インターネット広告を販売している企業を見ると、そのトップはグーグル(Google)で1,037億ドルになる。これは全世界の広告支出の31.1%を占める数字だ。2位はフェイスブック(Facebook)で673億ドル。次いで292億ドルで中国のアリババ(Alibaba)が3位となっている。インターネットでの小売企業のイメージが強いアマゾン(Amazon)が広告販売140億ドルで4位となっているのは意外かもしれない。その後もバイドゥ(Baidu)、テンセント(Tencent)、ツイッター(Twitter)などが続くが、その中に日本企業は入っていない。

広告を出す側はインターネット広告だけではなく、伝統的な広告媒体(新聞や雑誌、テレビやラジオなど)をどう組み合わせていくか、つまりクロスチャンネルの調整がますます重要となる。そして伝統的なメディアはインターネット技術を取り入れていくしか生き残れない。それはただ単にネット広告を載せるだけではない。サブスクリプション導入などの収益構造の改革だ。

中山拓