INVEST IN MONGOLIA 2019

2019年12月20日(金)、日本貿易振興機構(ジェトロ)、モンゴル国政府、中小企業庁の主催で東京のジェトロ本部にて「日本モンゴル・ビジネスフォーラム」が開催された。会場にはモンゴル国政府関係者のみならず、食品・健康食品、カシミヤ・皮革製品、商社などのモンゴルの中小企業も参加していた。数社の製品は展示も行っており、実際の商品を手にとって見ることができる機会となった。

モンゴル国家開発庁長官B.バヤルサイハン氏による基調講演が「モンゴル国の開発政策及び投資環境」というテーマで行われた。モンゴル国は現在まで外国投資を誘致するための様々な法的環境の整備を進めてきた。まず対外的な投資環境として26カ国と租税条約を結び、投資保護協定を43カ国と締結してきた。日本とは経済連携協定(EPA)が2016年から発効している。国内の投資環境としては、投資法により外国投資家へのライセンス交付の簡素化、税制支援や税制外優遇措置を講じている。税制支援では、経済特区(EFZ)において5年間の税の減免を受けられること、中小企業の設備機器の輸入にかかる関税が免除されることがある。税制外優遇措置としては、60年間の事業用地の貸与、外国投資家向けのワンストップサービスセンターが開設されたことなどがある。特にワンストップサービスセンターでは、それまでウランバートル市内各所に所在していた国家登記庁、外国人・戸籍問題管理庁、国税庁、社会保険庁、国家開発庁を一つひとつ回り手続きする必要があったものが、1箇所で済むようになった。このワンストップサービスセンターは2019年2月に開設され、7ヶ月間で17,500件のサービスを提供してきた。

B.バヤルサイハン国家開発庁長官による基調講演の様子

投資家保護の仕組み作りも進んでいる。投資家の不服申立に対し期限を区切って投資家権益保護評議会(IPC)が回答を出すSIRM ITシステムが構築されている。モンゴル政府のIT化が急速に進んでおり、時代のニーズに沿った投資についての政策・法整備へ反映される様になっている。

この様な政策により、モンゴルへの外国直接投資は2016年14.9億ドルだったのが、2018年には27.3億ドルと1.8倍へと増加してきた。また参入外国企業も282社(2016年)から489社(2018年)へと増加している。

またモンゴル国食料・農牧業・軽工業省の総合政策企画局長M.エンフアマル氏の講演では、農牧分野での輸出を増やすための投資誘致すること、輸出製品の多様化、投資家への情報提供や支援を政府として積極的に関わっていくことなどが話された。羊や山羊などの家畜製品(カシミヤや食肉など)などの製品輸出を柱にしたい思惑があるようだ。

モンゴルは鉱物資源や原毛などの一次産品を輸出し、海外から製品を輸入している典型的な資源国である。今回のフォーラムで見えてきたものは、日本の技術力とモンゴルの資源を掛け合わせることで、高品質な製品を製造し、国際市場に輸出したいというモンゴル側の意図が見える。しかし課題は、世界で最も厳しいと言われる日本の基準にどこまで合わせることができるか(食肉についてはトレーサビリティがないので農林水産省に承認されない)。

また日本からの投資に対する優遇措置について、関税庁などの末端職員が理解しておらず(通関手続きが滞るなど)、輸出入時に頻繁に問題が発生している。それでも6.9%という高い経済成長率(2018年)と民主国家であるモンゴルは、可能性のある投資先として検討する価値は大いにある。信頼関係の醸成と目的の明確化、情報収集が鍵となるだろう。

中山拓