J(ジャルガルサイハン): 男性の紳士服について話を始めましょう。あなたはプレミアテーラー社を設立し、支店を3ヵ所まで増やしました。あなたはアメリカで経営学を学びました。どうして服飾市場に可能性があると思い、会社を設立したのですか?
T.ゾリグ: 私は子どもの頃からファッションに興味がありました。アメリカ留学時代は、他の留学生と一緒にヨーロッパの学生にファッションのアドバイスをしていました。いくつかの案をブランド化したり、オンラインで発表していました。モンゴルに帰国してMCSプロパティーズ社の営業部に就職しました。そこでは誰もが会社の服という意味でスーツを着ていました。しかしモンゴルではスーツの種類は少なく、購入できる店が限られています。そして買ったスーツの調整を仕立屋に出します。そこで質の問題が発生します。5年前に韓国、タイ、香港などスーツ市場が大きな国でスーツを注文した際、採寸技術がとても進んでいたため、これをモンゴルに導入したいと思い会社を設立しました。
J: 5年前に設立して以来、業績は順調ですか?
T.ゾリグ: 私は自分がしていることをビジネスというより趣味としています。今後、モンゴルで紳士服文化を普及させたいと思っています。弊社はこの分野で最大手と言っても過言ではないと思います。不景気で事業を行うにも難しいこともありますが、私達は一つの趣味のもとに集まった者たちなので乗り越えることができています。他方、弊社の製品に対する顧客の評判は非常に良好です。
J: 社員は何人いますか?
T.ゾリグ: 12人です。そのうち7人が専門デザイナー、残りはファッションに興味を持ちながら経営学を修了した者です。
J: 男性の紳士服に関して多くの人が海外で買う傾向にあります。これにつれて競争面で重視していることがあるかと思います。どんなことがありますか?
T.ゾリグ: 外国で買うこと自体に満足感を得るため、多くの人は海外で買います。顧客が他にどんなことから満足感を得られるかを私たちは考えてみました。そこで当店に来た顧客は専門的なアドバイスを受け、オーダーメイドができることが強みだと思います。外国の店ではサイズや価格などを店員に聞くだけです。私たちの店舗の特徴としては、顧客対応用のVIP室を設けていることです。そこで顧客の仕事や専門、どこで着用するかなどの話を伺った上でアドバイスをしています。多くの顧客は、アドバイスを貰いたい、国内製品を応援したいと思っています。そういったビジネスマンが外国の製品より弊社の製品を選んでくれています。これが私たちにやりがいを与えてくれます。
J: 男性の紳士服では何が一番大切ですか?アドバイスをお願いします。
T.ゾリグ: 服装はその人の本質を表すものなので、TPOに合った服装をすることは周りの人への敬意の表れでもあります。服装とは、あなたが誰なのか、あなたの年齢、職業、どこで誰に会うかなど、多くの条件によって素材、色、付随するアクセサリーを合わせることを言います。服装を適切に選ぶことができる人は、その場その時において自分を正しく表現できるということです。
J: 制服を着用しなければならない仕事があります。しかし、あなたは自己を表現すべきだと言っています。この違いは何ですか?
T.ゾリグ: 会社の特徴、規定などによって制服を着る必要性が出てきます。サービスを提供する職場では顧客に統一性を感じてほしいから作業員の制服を同じもので揃えます。しかし、オフィスで仕事をしている人或いは創造的な仕事をしている人は自分を表す服を選びます。最近の人材育成講座などで教えられることは、大手企業に働く人は社長の注意を引くために正しい服装をすべきだということです。なぜならば、スーツは殆どボタンが2個、襟が普通でポケットが二つなどの一般的なデザインのスーツが多いため、同じオフィスで似たデザインのものを着た人が少なくありません。アメリカでは自分のイメージを自分で作らなければならないと教えています。
J: 面接の時、服装は重要ですか?
T.ゾリグ: アメリカでは就職面接の時の服装や話し方に気を付けなければならないと教えています。面接の最初の1,2分の第一印象は服装、髪型、話し方、歩き方によって採用するかどうかの50%を決めてしまいます。その会社に適した人間かどうかが、その人の身だしなみにあるとみます。
J: 正しい服装とは個人の望みや考えではなく、社会生活において重要な要素の一つとなっています。どのような服を身に着けた人が良く見えますか?
T.ゾリグ: 大事なのはブランドではありません。いくつかのルールがあります。例えば、上司よりかっこいい服を着てはいけない、面接には派手な服を着ないなどがあります。また自分に合った服を着ることです。なぜならば、男性は自分に合ってない服を着ると、身体にきつく汗をかき気が散るので、面接時の自己PRなどに悪影響を及ぼします。そのため、自分の身体に合った服、スーツを着た場合は自信が持てるようになります。いくら高価のものを着ていても、その人に合っていなければ見た目が悪いばかりです。
J: 男性のワイシャツはジャケットの袖より長ければならないと言います。どのくらいの長さが適切ですか?
T.ゾリグ: スーツは紳士服として120年の歴史があります。ワイシャツはジャケットの袖口から指1,2本分出てなければなりません。ジャケットの袖は手首が隠れるほどの長さでなければなりません。
J: これについて学校で教えるのはどうですか?
T.ゾリグ: 服装はその人を表現するものです。しかし、スーツはその国の社会レベルを表すものだと思います。正しい服装、正しい食事の仕方、テーブルマナーなどの国際基準、規定などを授業で教えてあげれば良いと思います。
J: 男性はどんな時にベスト付きのスーツを着るべきですか?
T.ゾリグ: ベストはスーツと一緒にできるものなので、これを着た状態が完全な紳士服となります。最近ではベストがなくてもちゃんとした服装として見なされています。これはファッションが変わって来ているからだと思います。
J: 国連、大使館などのレセプションでは「ビジネスカジュアル」と書いてあります。これはどういう意味ですか?
T.ゾリグ: カジュアルというとネクタイがなくても大丈夫とみていいでしょう。フォーマルというと必ずスーツを着なければならないということです。その他に「黒ネクタイ」とあります。さらにタキシードとあります。また、ズボンの裾上げがシングルかダブルかや、黒靴かどうかがあります。イギリス人は私たちが言うタキシードを「ディナー・ジャケット」と言います。「モーニング・コート」と言ってグレー色のズボン、薄い黄色或いはグレー色のベストと後ろが長い燕尾服があります。
J: ディナー・ジャケットを外国ではどのように使いますか?
T.ゾリグ: ディナー・ジャケットはオペラ、コンサートなどに着ることが多いです。「モーニング・コート」は太陽が沈んでない夕方のレセプションに着るものです。
J: あなたはイタリアの高級ブランドと提携しています。彼らとどうやって知り合いましたか?そのエピソードを聞かせてください。
T.ゾリグ: モンゴルの市場は小さいため、海外ブランドは進出するのではなく、「フランチャイズ・パートナー」を探します。人口が少ない、この分野で競争する企業が少ない。その中で外国のブランドに要望を出しているのは弊社だけです。私はこの分野でのことを色々調べた上でISAIAというブランド社に要望を出し、彼らも私たちを信頼してモンゴルに入って来ました。
J: そのブランドはイタリアではとても成功をしているようでした。あなたは経営においてどんなことを重視していますか?
T.ゾリグ: 男はやると決めたことを最後までやり通すものです。私は品質の良い製品を導入したことでこのニーズに応えています。
T.ゾリグ * D.ジャルガルサイハン