モンゴルは、マネーロンダリングおよびテロ資金供与防止のための国際機関である金融活動作業部会(FATF)の「集中監視リスト」に2017年から入っている。

9月9~10日にかけ、タイのバンコクで開催されたアジア太平洋マネーロンダリング対策グループ(APG)の相互審査会議にモンゴル政府代表者が参加した。この会議でモンゴル政府は、是正勧告の履行状況について説明し評価を受けた。その結果、モンゴルは20の満たしていなかったFATF勧告のうち15項目を履行している。そして11の有効性の審査項目のうち、4項目が是正されていないため、「中」という評価を受けた。

モンゴル銀行(中央銀行)金融規制委員会財務省法務・内務省諜報庁警察庁など、モンゴルの政府主要機関の代表が参加したAPGの会議で、なぜ「中」という評価を受けたのか?モンゴルが是正していない4項目とは何か?モンゴルはこれらの項目をなぜ是正できなかったのか?その理由を国民は知る権利がある。

モンゴルが果たしていない有効性に関する4つの審査項目

経済全体を支える金融システムをマネーロンダリングやテロ資金供与などの犯罪から守るため適切に機能させ、国の安全を保障するためにFATF勧告をモンゴルは受け入れ、早急に是正する必要があった。そして今回、有効性を評価する11の審査項目のうち、達成されていない4つの審査項目とは次のとおりである。

第1、「金融機関・DNFBPの監督」という11項目中3つ目の項目について、モンゴルの対応は不十分である。モンゴルでは、「ノンバンクの監視」とは建前に過ぎず、監視は非常に弱い。これが資金洗浄の機会を増やしていると評価された。

第2、「金融機関・DNFBPの予防措置」という11項目中4つ目の項目について、モンゴルは未だに履行していない。モンゴル政府は、宝石や貴金属の違法な取引を監視できていない。鉱物資源税が上がると数トン単位で金が闇取引されることが、この項目を履行できていないと証明されている。ここで言われるのは、監視できなくなった違法採掘者(“ニンジャ”と呼ばれる金鉱山で無断採掘する無法者たち)による金の採掘、違法採掘者から金を買い取っているのに守られる闇の権力者たちのことである。また、海外で宝石を大量に闇取引している商売人もここに含まれる。

第3、「資金洗浄の捜査・訴追・制裁」という11項目中7つ目の項目、これについてモンゴル政府は全く実施できていない。モンゴル政府は、腐敗と闘っているように見せかけるため、しばしば政府高官、銀行の頭取や大企業の経営者などを逮捕する。しかし今日、これら腐敗に関する事件のどれも裁判で裁かれることはない。裁かれるどころか、何らかの理由をつけて容疑者は釈放され、何の刑罰も受けていない。腐敗事件に関しては、元首相2人、元財務大臣、エルデネスモンゴル社の社長、TDB銀行のオーナーと頭取などの権力者たちが逮捕されたが、直ぐに釈放され、事件の真相が闇に葬られたことを指している。

第4、「大量破壊兵器に関与する者への金融制裁」という11項目中最後の項目について、モンゴルは守っていない。核兵器の開発実験で世界中を脅かし、国民が飢餓に瀕していても省みない北朝鮮に対する国連経済制裁をモンゴルは履行していない。最近では、数が減少しているものの、モンゴルに約300人の北朝鮮労働者がおり、彼らの給与を北朝鮮大使館に提供している。

国際的な機関が、このようなモンゴル政府の実態を曝け出した。グレーに染まった政府は、この国を「グレーリスト」に入れ、国民の生活もグレーに染めている。いつになったら、このような行為を止めることができるのだろうか?

グレーリストに入ると通貨トゥグルグは 急落し、その影響をまた国民、企業経営者たちが受ける。

地域で「中」という評価を受けたモンゴル代表者は、10月12日にパリで開催されるFATFの年次総会で「グレーリスト」に入るかどうかの決定を待つこととなる。

ダムバダルジャー・ジャルガルサイハン