現在モンゴルでは、人口の60%がワクチン接種を済ませている。そのため、経済を回復させ、正常に戻す必要がある。L.オユン-エルデネ首相は、パンデミック下における経済を強化するための国家委員会を設立した。政府と民間の代表で構成されるこの委員会は、輸出の増加、輸入に代わる国内生産の支援、政府と民間企業のパートナーシップの強化、投資の増加を目指すものである。また、この活動をサポートする法案を国会に提出するようである。しかし、どんなに委員会を設立し、法律を策定しても、政府がこれまで打ち出してきた一部の経済政策や原則を変えなければ、経済の回復と長期的発展は不可能である。ではどのような政策や原則を変える必要があるのか?

経済成長の主な目的は、国民の生活の質を向上させることである。しかし、モンゴルの1人当たりのGDPを見ると、2013年は4,501ドルだったのが、2020年では4,127ドルとなっており、過去7年間増加していないことが分かる(国家統計局)。モンゴルは中程度の発展国である。この1人当たりのGDP指数は、15,000ドルを越えてはじめて先進国の仲間入りとなる。

この水準に到達するためには、国に貯蓄が絶えず増加し、投資が増え、教育が改善され、最新技術が導入されていなければならない。政府はこの方向に取り組むべきである。政府は国の予算、つまり税金による公的資金を適切に管理し、最大限効率的に運用し、可能な限り管理的ではなく、市場原則を実施しなければならない。つまり、次の4つのことをしないことである。

1.政府は民間企業がより効率的にできることを何もしないこと

どんな政権もこれについて公約をするが、実際には国有企業や地方自治体の企業を数多く設立してきた。今日、モンゴル政府は、鉱業、エネルギー、交通、航空および鉄道など多くの分野で企業や金融機関を所有している。政府・自治体は、339の会社を所有しており、そのうち232社が地方の所有、107社が国の所有であるという。それらのうち、片手で数えられるだけの企業のみが黒字であり、残りは赤字で債務超過となっており、国の予算で助成されている。それらの総債務額は37兆トゥグルグに達しており、まもなくモンゴルのGDPを上回ろうとしている。

国有企業という名目であるが、実際には政党所有の企業であるため、知識や能力よりも政治的な基準が優先され、企業の人材登用は全国で崩壊している。公務員の数は205,000人、国有企業で働いている人の数は66,000人であり、これは社会保険料を支払っている人の3分の1を占める。国有企業は、民間企業を買収ているので初期投資が抑えられ、政府と意思決定者との関わりが深いため、市場を独占し、自分たちに優位な状況を作っている。その結果、発展の主な原動力である自由競争が失われつつある。

2.政府は価格、賃貸、賃金を管理しないこと

政府は価格、賃貸、賃金の水準を設定又は規制しようとすればするほど、特定の個人やグループにとって不当な利益をもたらし、社会全体に害を及ぼすのである。例えば、住宅ソフトローンは、一見借り手にとって有益に見えるが、金利差額はすべての納税者によって間接的に支払われている。その結果、住宅価格が上昇し、建築会社に有益なものとなっている。

他にも、電気料金は低く抑えられすぎており、電力会社は生産力を上げることができなくなり、そのため、いつでも電力が完全にストップし、ブラックアウトする可能性が高い状況にある。

最低労働賃金を設定したことにより、パートタイム勤務の機会が失われ、その結果、学生や若者をはじめ多くの人が働く機会を失った。

政府によるこれらの規制によって、最終的にはモノ不足が発生し、闇市場が隆盛し、商品やサービスの品質が低下する。

3.政府はその能力の範囲内で機能すべきである

政府の活動は予算を超えてはならない。モンゴル政府は、このことを長年疎かにしてきた。そのため、今日では負債の罠に嵌っている。負債を負債で返済し続けている。負債は雪だるまのように転がれば転がるほど大きくなり、今や国の債務はGDPの3倍にもなっている。

欧州連合では、持続可能な成長を確保するために、加盟国の財政赤字はGDPの3%以下、国家債務はGDPの60%を超えていけないというルールがある。このルールに違反した場合は、GDPの0.5%に相当する罰金が科される。2020年のモンゴルの財政赤字は、GDPの12.3%に相当している。

4.市場に通貨を過剰供給しないこと

過剰なマネーサプライは、価格上昇を引き起こす。パンデミック時の経済(パンデノミクス)回復のための政府の政策プログラムが、この国のマネーサプライを急増させている。企業の事業リスクが無くならない中で3兆トゥグルグを3%(実際の貸出金利は9%)の金利で交付した。これが銀行の賃貸対照表における取引および預金残高を増やした。中央銀行の証券残高はおおよそ1兆2,000億トゥグルグに増加した。本来、政府のプログラムは、この残高を減らすことを目的としていたはずだ。

2020年末に、商業銀行は2,900億トゥグルグの利益を上げ、2021年上半期には3,230億トゥグルグの利益を上げている(モンゴル銀行統計)。2021年、預金の平均金利は6.1%、貸出の平均金利は14.7%のままである。

政府はこれらの活動を制限しなければ、モンゴルの経済は発展しない。発展したとしても、その結果はすべての国民の生活にではなく、特定のグループのみに恩恵をもたらすだけだ。

ダムバダルジャー・ジャルガルサイハン