最低年金額が50万MNT/月に引き上げられる

大統領は選挙の準備を進めている

年金の最低月額が50万トゥグルグに引き上げられる。バトトルガ大統領はここ1ヶ月、地方を訪問し、自ら人々を表彰し、メダルを授与している。訪問した県は、トゥブ県、ウムヌゴビ県、ドンドゴビ県、ゴビスンベル県、ダルハン・オール県、ボルガン県等。ボルガン県を訪問した際、大統領は年金の最低月額を50万トゥグルグに引き上げる法案を提出すると公約した。今年初めにも今回と同じように、突然、年金ローン残高を帳消しにすると発表した。年金ローンを負う22万9千人のうち、6月までに22万8千人が年金ローン帳消しになった。これは国家予算のうち6900億トゥグルグを占めた。

現在、モンゴルの年金の最低月額は35万トゥグルグ、比例年金最低月額が30万トゥグルグ、平均年金月額は40万9千トゥグルグである。年金だけでは必要な生活費を賄えていないのは確かだ。モンゴルでは、定年退職者が41万7千人いる。そのうち年金を受給している人は31万7千人だ。総人口でいえば、10人に1人が年金受給者ということになる。今の年金だけでは生活が成り立たないのは事実だが、まずは経済を拡大させ、収入を増加させなければならない。そうして健全な成長を促す。さもなければ予算に対する負債だけが増え、モンゴルの対外、対内債務が増加するだけだからだ。

大統領は最近、国家大会議秋期国会開会式で「借金まみれのこの状態をいつまで続けるのか」という発言をした。選挙前にこのような公約をするのであれば、債務超過の状態が続くのも当たり前だ。だが政治家は“ばらまき”以外の選択肢を国民に与えない。政治家のこのような公約はインフレを招く。架空の収入は、物価高騰を招くだけだ。

年金の財源となる年金基金はずっと赤字を出し続けてきた。2019年には、6000億トゥグルグを国費で補った。年金基金のシステムには問題がある。年金基金は国の予算から独立していなければならない。年金基金は国の最も長期間かつ最大の資産である。問題なのは、年金基金制度の蓄積と分布の循環が切断されたことだ。年金基金側が、年金支出を国の予算と混同しており、支出が収入を常にオーバーし赤字となる。2018年には年金基金の収入が1.1兆トゥグルグ、支出が1.6兆トゥグルグであった。毎年、数兆トゥグルグの赤字が出る。

また年金基金の蓄積と分布に相関関係がない。これは政治家にとって非常に有利となる。もとは中央計画経済から自由市場経済への移行に由来する。社会主義体制の下では、全て国の予算で調整していた。その名残りで未だに独立できていないのが基金だ。政治家は年金基金を独立させると口では言うが、いつまでたっても実行に移さない。なぜなら、自らの選挙に最も影響を及ぼすのが年金受給者だからだ。そのため、政治家はいつも選挙の前に大風呂敷を広げる。

1995年〜2006年までの年金保険料率が19%だった。それを2008年に突然14%に引き下げた。このため年金基金は安定性を失った。また、2012年に年金保険料支払い見なしルールが制定された。1990年〜1995年の間に年金保険料を支払っていない者を支払ったとみなし、1995年〜2000年に年金保険料を支払っていない者の保険料を当時の為替レートに比例させて徴収した。結果的に、380億トゥグルグの保険料を支払った人々に対して、今まで7000億トゥグルグの年金を支払っている。このように政治家の公約は国を多額の債務に導くのである。

他方、モンゴル国の人口の多くが若者だが、年金基金の赤字幅は増え続け、そのため働く被保険者1人に対する年金受給者数が増えている。この状態で高齢化が進むとどうなるのか。損失をどこから補うのか。国会では年金制度改革を断行する、民間年金基金を設立するという声が上がっている。これは正しい考えだが、気をつけるべきこともある。

例えば、ポーランドでは1999年に年金制度改革を行い3本柱とした。一つ目は、50 歳以上の者を対象に今日のモンゴルと同じ制度を維持した。二つ目は、積み立て型年金制度を導入した民間年金基金制度である。これを29歳以下の者に加入を義務づけた。30歳から50歳の者には選択肢を与えた。年金保険料率19.5%のうち12.2%を国の年金基金、7.3%を民間年金基金にできるという選択肢だ。30歳から50歳の者の6割がこれを選択した。三つ目は、希望者が任意で加入する制度だ。しかし、この制度改革には高額の費用がかかった。1999年〜2012年の12年間、この制度改革にかかった費用がGDPの15%に相当した。さらに、この費用を賄えなかった政府が対外債券を発行し、それにまたGDPの6.8%相当の費用がかかった。国営企業を民営化することで年金基金の資金調達をしようと考えたが成功せず、多額の費用に伴い借金が発生した。そこで、二つ目の民間年金基金に支払われる年金保険料率を下げ、加入を義務づけるのではなく任意とした。

モンゴルでは年金制度改革が必須だ。徐々にだが民間年金基金制度に移行すべきだ。年金保険料を未払いの者に年金を交付する場合、年金基金からではなく福祉基金から付与すべきだ。年金保険料を払っていない者に、なぜ年金を交付しなければならないのか。福祉が必要な者には福祉基金から手当を支給すべきだ。

年金の最低月額を政治目的で引き上げることは不可能だ。引き上げたとしても国の予算に対する債務が大きくなり、財政赤字となる。赤字は誰が支払うのか。それはあなたが支払うのだ。


国家大会議は2021年度の予算と金融政策に関する協議を開始する

モンゴルの外部及び内部債務は増加する一方だ

国家大会議は2021年度の予算と金融政策に関する協議を始めた。法律上、来年度の予算案を協議し、11月15日には決定しなければならない。予算を話し合う際、金融政策についても協議をしなければならない。2023年までインフレ率を6%以下に抑え、維持するとのことだ。中央銀行の説明責任、透明性を上げ、市中銀行への監視、調整機能を改善するという。しかし、収入を過度に楽観視し、支出を増やしている。GDPが7.2%増加して42兆になると試算している。輸出を30%上げ、79億ドルにする。ここ3年間、毎年4200万トンの石炭を輸出すると予測していたが、一回も達成したことがない。最大で2019年の3600万トンの輸出となる。今年は、9月下旬の時点でわずか2000万トンの石炭を輸出できたぐらいだ。石炭はモンゴルの輸出の5割近くを占める。今年の石炭輸出は多くても2500万トンになるだろう。

これと関連して、中央銀行は政策金利を10%から7%に引き下げた。3.8兆トゥグルグのビジネスローンを再構築した。つまり、支払い期限を延長したということだ。総額7280億トゥグルグの8万2千人の住宅ローンの返済期限を6ヶ月延長した。また、2兆トゥグルグの3万8千人の消費者ローンの返済期限を延長した。新型コロナウイルス感染拡大時には必要な措置だ。2020年はパンデミック中の経済であり、世界経済が5%縮小すると見られている。モンゴル経済は2020年前半に9.7%減少したが、後半は回復している。アジア開発銀行は、2020年のモンゴルの経済は3%減少するとみている。鉱山資源の輸出との関係でこういう結果になる。

トゥグルグの対ドル為替レートが年始より4.4%下がっている。1ドル2734トゥグルグが今は1ドルが2853トゥグルグとなっている。輸出収入が減少した影響で、貿易収支は6億ドルの赤字となっている。このため外貨準備に負担がかかっている。貿易赤字が年末に減少する可能性はあるが、今のところGDPの12.5%になる見込みだ。これによりローンの返済に困難が生じたため、ローンの再構成がなされたわけだ。ここで、一つ疑問がある。政策金利を引き下げ、ローンの返済期限を延長しているのにも関わらず、なぜローン件数が増加しないのか。要因は2つある。まず、ローンのリスクが高いこと。もう一つは、去年の同じ時期と比較して、ローン総資産は3%下がっている。消費ローンは10%も下がっている。これは当然、商業に影響を及ぼす。

では、金融政策に関して何をすれば良いのか。もちろん、今後の新型コロナウイルス感染拡大にもよる。最近、国際通貨基金と世界銀行の会議で、世界のGDPが4.4%下がると発表された。中国のGDPは今年1.9%上がり、来年は8%上がるとの見込みだ。中国の経済成長はモンゴルの輸出に影響を及ぼす。中国に石炭や銅を多く輸出したら、貿易赤字が下がる。今年の貿易赤字は12.5%で、来年の貿易赤字は5%になると計算している。モンゴルは1990年以降、貿易赤字を補填するために、外国から借金をしてきた。今年も日本から2億4000万ドルの借款を取り付けた。中央銀行は新しいプロダクトを作ろうとしている。鉱山開発以外の分野でのローンを合わせたレポ(Repo)という名の2年間の債券だ。これはローンを債券にしたということだ。この種の金融商品は比較的リスクが高い。中央銀行はこれらの対策を講じていっている。

また外貨準備高を増加させるための努力もしている。今の外貨準備高は、36億米ドルだ。これを引き上げるために金の購入を増やしている。去年は15トンだったが、今年は20トンの金を購入するとしている。トゥグルグの為替安定化のために、常に市場介入をする。介入とは、中央銀行がドルを市場へ放出すると同時にオユトルゴイ、エルデネス・タワントルゴイ等の大手企業からドルを購入することだ。この2つの差異で介入を計算すべきだ。年始からのこの2つの差異をみると、23億ドルを市場に放出したが、17億ドルを購入している。差額の6億ドルで為替レートを維持している。為替レートを維持するためとしては費用が高い。本来なら、為替レートは貿易やビジネス競争力を映す鏡でなければならない。

モンゴルの対外債務は増加する一方だ。モンゴルの対外債務総額は307億ドル。最近まで政府の対外債務は70億ドルだったが、今は73億ドルとなった。モンゴルは債務を返済できていない。債務を債務で返済しているからだ。大統領はこれをずっと続けるのかと発言していたが、政治家が計画されていないものを公約し、必要でない投資をし、予算を非効率に使っているため、このような状態が続くしかなくなっている。これがまた為替レートにも影響を及ぼすのだ。


裁判所総評議会が記者会見を開いた

モンゴルでは腐敗が増え続けている

10月13日、裁判所総評議会が「オープンコート」記者会見を開いた。裁判所協力広報部長ビンデリヤが今年の第3四半期の報告をした。この報告によると、50万人の市民が訴訟を起こし、権利を回復しているという。今年の第3四半期には、1万701人、3つの法人が刑事責任を追及された。国民が長い間、要求してきた裁判の情報を手に入れるため、3ヶ月前からwww.live.shuukh.mnというウェブサイトを運用していることを報告した。裁判所は透明性を確立しようとしているのだ。

モンゴルの最も深刻な問題は腐敗問題だ。腐敗に関する事件の裁判は常に長引く。いくつかの事件について、今回は2019年の第3四半期より詳細な情報を提供するようになった。新しい検事総長が任命されてから、腐敗防止機関から移送された事件について解決を急ぐように指示が出されたようだ。腐敗防止機関は何百という事件を検察に送るが、殆どが不起訴か裁判を延期するという結末であった。例えば、腐敗防止機関から移送される事件の7割を公務員職権濫用罪が占める。裁判所は今年の第3四半期に公務員職権濫用罪の事件30件を解決した。昨年同時期と比べて、解決済み事件数が2.6倍増えたとのことだ。また収賄罪の10件を解決した。昨年同時期と比べて収賄罪の事件数が55%増加したという統計になっている。贈賄罪は12件で、去年と比べて12倍増加しているということは、去年は1つの事件しか解決しなかったということだ。横領罪が4つの事件で解決され、去年と比べ4倍増加したということだ。

ここで一つ問題があるのは、腐敗と賄賂を区別しなければならないことだ。腐敗防止法の定義によると、腐敗(Corruption)とは、個人的な利益のために公的な立場を濫用したり、他人に優先権を与えたり、個人又は法人からそのような違法な優先権を得たりする行為または不作為に現れる違法行為を意味する。賄賂(Bribes)とは、モンゴル最高裁判所の法令解釈によって定義されている。「賄賂」には、違法な目的を達成するために贈与した有体物、無体物、それを所有する権利、無償または割引で提供された仕事またはサービスが含まれる。

裁判官たちはこれらの法律用語を適切に、国際基準に照らし合わせて翻訳し、使用する必要が刑法にあるという。身内贔屓(nepotism)、特別待遇(favoritism)、親族および仲間の優先(cronyism)、キックバック(kickback)、詐欺(fraud)等の用語を峻別し、それぞれ刑法に明記し、国際基準に合わせる必要がある。なぜなら、この用語の不当な定義などを原因に国に1億トゥグルグの損害を与えた者が500万トゥグルグの罰金で済むようなことが起きているからだ。

新しく軟禁という刑罰が定められているが、社会関係をどこまで制限できるかがまた問題となる。社会に広く普及していることが一つある。官僚の煩雑な作業を省き、問題を早急に解決してもらうために贈賄するということだ。収賄罪と贈賄罪が全く同じ刑罰を受けるべきかという問題も生じてくる。

政治家は腐敗問題に口だけで戦うから、なかなか良い結果が出ない。なぜなら、モンゴルの腐敗問題の一番根本にあるのが政党の資金調達だからだ。政党の資金調達を公開すると全ての国会議員が約束する。しかし、公開せずに10年以上が経つ。今もその約束が果たされないまま続いている。

腐敗犯罪を犯した者に支払わせる金額が少ない。とりあえず、社会に与えた損害を賠償させるべきなのに、何年間か収監したからと幕引きを図るのは正義に反する。これらの問題を体制的に解決しなければ、一人の犯人を捕まえる間、10人の犯人が生まれてくるのだ。

ダムバダルジャー・ジャルガルサイハン