春期国会の閉会
COVID-19の影響があったものの春期国会は予定どおりに開幕し、全ての審議はオンラインで実施され、5月15日に閉会した。春期国会は開会から閉会までの期間でどのような法律を可決成立し、どのような問題を解決したのか?
今回の春期国会は、とても重要な国会となった。2016年の国政選挙で選出された議員による第7回目の国会となる。この4年間で延べ11回にわたる通常国会と臨時国会が招集された。そして全部で1400の法律や決議案を立案し、可決成立、承認した。
周知のように、国会は国の唯一の立法機関であり、国権の最高機関である。そのため、この国会が何を成し遂げたかについて簡単に説明したい。
G.ザンダンシャタル議長は閉会の挨拶で「この国会は正義と法の支配を確立する上で大きな変化と改革、そして生産性に富んだ国会として歴史に残るだろう」と言った。歴史にどう残るかは歴史となったときに見せてくれるだろう。現国会は76議席のうち65議席を人民党1党が獲得して始まり、そのうちの3議席、つまり3人の議員がその職を解かれた。そして内閣を1度解散させた国会である。
まずこの国会は、モンゴルで20年間話されてきた憲法改正を行った。次にCOVID-19の緊急事態時の審議である。現在、モンゴルには141人の感染者が確認されており、死者は出ていない。今も緊急事態宣言が続いており、外国からモンゴル国民を引き戻している。
COVID-19を受け、春期国会は2つの法律を成立させ、1つの国会決議を発出した。1つ目の法律は、COVID-19感染防止のための対策と社会経済に及ぼす悪影響を軽減させるという1回きりの法律である。2つ目の法律は、COVID-19の緊急事態宣言時の国民の健康と所得を保障するための雇用維持法である。3つ目は国会決議である。この国会決議は金融経済状況を安定させ維持することが目的である。感染リスクを防止するための政府行政サービスの電子化措置といったものである。
また、今国会が出した重要な決定についていくつか挙げたい。1つは、エルデネト鉱業の株式49%を国民が保有すると決議を出した。これは完全に実現するまでに時間が必要である。次に、オユトルゴイ鉱山のモンゴル側の利益を保障する決議を出した。また、初めて遊牧民の定年年齢を引き下げた。育児をしている母親たちに国から手当を給付するようになった。また、年金担保ローンの返済残高をゼロにする決議が大きな論争を巻き起こした。その他に政府監査法を解決成立させた。また、モンゴル国の長期発展目標となる「2050年ビジョン」を採択した。
しかしながら、国会で審議されたものの解決されていない問題もある。第1に、貸出金利を引き下げるための具体的な取り組みが行われていない。第2に、腐敗や汚職事件ただ1つも現政権時に解決されていない。第3に、行政制度が2つになったような印象がある。大統領の権限を制限するような改訂が行われているが、基本的に大統領制と議院内閣制の二つの制度が並行して存在する決定が出されている。また、憲法改正に合わせて関連する他の法律の整合性を取る改正ができなかった。ここで強調したいのは、如何なる法律の立案や可決は、十分な研究や調査に基づいて行われなければならない。
住宅化政策と住宅ソフトローン
先週、国民の注目を集めたこととして住宅化政策、特に住宅ソフトローンがある。モンゴル銀行による2020年5月から2020年12月までの住宅ソフトローン向け資金調達の決定である。住宅購入希望者にとって障壁となっているものは、住宅ソフトローンの資金停止である。モンゴル銀行は住宅ソフトローンの資金調達をどのように解決しているのか?
この問題にまた政治の絡みが入ってしまった。5月から始めて年末までという。6月1日からではなく。
そもそも住宅ソフトローンは、当初の目論見通り機能しなくなった。モンゴル銀行(中央銀行)は住宅ソフトローンプログラムを実施する機関ではない。このプログラムの管理権限を政府に移すとずっと話し続け、プログラム自体を停止させていた。しかし、2020年再び選挙シンドロームが始まり、モンゴル銀行自体が住宅ソフトローンの資金として1,200億トゥグルグを拠出すると言い出した。この1,200億トゥグルグは各商業銀行を通して配布される。例えば、ある商業銀行が住宅ソフトローンの資金200億トゥグルグを受ける場合、その銀行は自己資金で200億トゥグルグを拠出するという強制的要請があり、今年の残り7ヶ月間に2,400億トゥグルグの資金を投入しなくてはならないと言う。
これはとても重大な問題である。なぜならば、この住宅ソフトローンの仕組みについて社会は統一した理解をもっていない。年利8%のプログラムは2012年から7年間実施され、延べ80,000人が住宅を購入した。しかし、実際はこの住宅ソフトローンの利息は年利3%であり、建設会社はその上に4〜5%を上乗せして8%にしている。
この住宅ソフトローンの仕組みを見ると、モンゴル国民全員がお金を出し合って安い金利のローンを一部の人に提供しているというものである。この仕組みが長期間続くことはよくないと批判され、ようやくプログラムが停止したが、選挙を前にして再び動き出したということだ。従って、モンゴル銀行は具体的な規定を出している。
例えば、債務者1人に交付する借入額は最高1億トゥグルグまでとしている。モンゴル銀行の財源から交付する全資金の25%以下を地方に配分する。新規の借り入れでなければならない。公務員および特別職に交付するのは15%までとする。これらを経済的側面から見れば、銀行のリスクを増やした措置といえる。政治的側面からみれば、このような規定を出した人たちのために投票する人が出てくるだろう。
この住宅化政策に関連して政府はもう1つの決定を出した。それはこのCOVID-19感染症の最前線で闘っている医療従事者および政府特別職従事者に、特別な条件で住宅を購入できる措置の決定である。つまり、医療従事者や政府の特別職従事者に住宅を借りながら購入する機会を提供しているということである。そしてその実施を市長に命じている。
決定や命令は簡単である。だが実施は難しい。政府は1,300〜1,500世帯が完成している住宅に入居すると言っている。比較すると、ブヤント・オハーⅡという住宅に972世帯に住宅を借りながら購入できる機会を提供すると公表し、抽選をした。その当時35,000世帯が申請を行った。これは1つの住宅に35人が詰めかけたということである。ここから住宅の需要とニーズはとても高いと考えられる。しかし、この住宅提供プログラムを適切に正しく実施しなければ、選挙後には誰一人として入居していないということが起こりかねない。