トランスペアレンシー・インターナショナルが毎年各国の公務員や政治家の腐敗にスコア評価でランク付けしている。これはCorruption Perceptions Index、腐敗認識指数と呼ばれるものだ。
2017年の調査結果を見ると、モンゴルは36点(最高は100点で最も清潔で、最低は0点で最も腐敗している)で103位(180カ国中)となっている。この腐敗認識指数はビジネスマンや各国の専門家を対象とした13種類のアンケート調査ではじき出された数値となる。こうしたことから非常に客観的に表された腐敗度を計る物差しとして使われている。
また各国をランク付けすることで、その国が世界でどのくらい腐敗が日常的なのかを見る目安ともなる。これは日本企業からしてみれば、どのくらいその国でビジネスを行いやすいかにも関わってくる。ちなみに日本は73点で20位となっている。1位はニュージーランドで89点、最下位はソマリアの9点となる。そしてトランスペアレンシー・インターナショナルの分析では、2017年の調査結果は前年からほとんど進展が見られず、腐敗への対策が不十分ということだ。調査対象の国や地域の3分の2はスコアが50点以下で、平均点は43点だ。
腐敗は国の経済成長に大きく影響する。あらゆる分野で無駄が生まれ、実力のない企業が生き残り生産性を著しく落とすからだ。それをスイスのローザンヌにある国際経営開発研究所(IMD)が調査発表している「世界競争力ランキング」で見ることができる。
2018年版の格付けでは、対象63カ国中でモンゴルは62位となっている。腐敗の度合いが競争力にも如実に表れている。世界競争力ランキングは、政府やビジネス、インフラなど300を超える調査項目から点数化され評価している。1位はアメリカとなっている。日本は25位で、順位が低い気もするが、これが世界から見た日本の評価だ。
世界の評価では、香港(2位)やシンガポール(3位)より競争力は格段に低く、台湾(17位)やマレーシア(22位)にも追いつかない。
トランスペアレンシー・インターナショナルの評価も、IMDの評価も、残念だがモンゴルの現実を表している。各国を同じ条件で数値化して、それをランキングしているので世界の中での立ち位置が明確な事実となる。それが受け入れがたいものでもだ。
しかし腐敗を断てば競争力も付いてくるとも言える。先日、モンゴルでは政党ぐるみでの組織的な公的基金の横領が発覚した。ネット上でも政府政党への批判が高まっている。腐敗を断つ機運が高まりつつある。腐敗がなくなれば政治リスクがなくなるので外国投資も入ってきやすくなる。腐敗をなくし国際競争力を高めることができれば、豊富な鉱物資源と優れたビジネス環境の相乗効果で、モンゴルは大きく発展できるだろう。
中山拓