現代では水力、火力、原子力の他に太陽光、風力など様々な電源が世界各国で利用されている。石油や石炭が人類のエネルギー源として使われ始めたのは18世紀の産業革命の頃といわれる。つまり、200年の長きに渡り石油、石炭は採掘され、使われ続けてきたということになる。現在、確認されている埋蔵量から計算される今後採掘可能な年数は、石油が50年、天然ガスが51年、ウランが99年、石炭が132年となっている。

地球温暖化が叫ばれる中、日本で天然ガスと並んで電源の主力となっている石炭による火力発電は、世界でもまだまだ広く電源として利用されている。世界の発電量の38.5%が石炭による発電となっている。

石炭は世界中で広く採掘され、安価であり埋蔵量も豊富なので、エネルギー源として利用しやすいという特徴を持っている。殆どの国で、こういったエネルギー源(燃料)は輸入に頼っている。原子力を除いたエネルギー輸入依存度で、日本は92%と高く、先進国の中でも突出している。フランスも89%と高いが、原子力技術が進んだ国なので、原子力を含めたエネルギー輸入依存度は47%となる。電力消費量世界一の中国でもエネルギー輸入依存度は22%、電力消費量第2位のアメリカは18%となっている。ロシア、カナダに至っては輸入依存度がマイナス、つまり自国で消費する以上にエネルギー源を産出して輸出しているということだ。日本が輸入している化石燃料のうち、石炭の72%、天然ガスの32%をオーストラリアが占めている。石油はサウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、クウェートなど中東から87.3%を輸入している。

年々、世界中で電力需要が高まっている。1990年の発電量を100としたとき、2018年では中国が1145(発電量7,111TWh)、インド542(発電量1,561TWh)、韓国502(発電量594TWh)、ブラジル264(発電量588TWh)で、世界平均では223となっている。人口の多い国で発電量の伸びが高くなっているが、工業化が進んだ国での発電量が増えたとも考えられる。発電量に対して一人あたりの電力消費量で見ると、意外にも電力消費量世界一はカナダで14,844kWhで、これは日本の7,949kWhの1.8倍以上となっている。モンゴル同様、厳しい冬があるためにエネルギー消費量が増えるのだろう。次いでアメリカ12,825kWh、韓国10,618kWhとなっている。発電量の伸び率が高かった中国は4,279kWh、インド918kWh、ブラジル2,504kWhと、まだまだ人口全体に電力が十分に使える状況ではないことが伺える。ちなみに世界平均は3,110kWhで、日本の消費量の半分以下となっている。便利な暮らしは電力によって支えられていると言える。

出典:一般財団法人日本原子力文化財団

中山拓