モンゴルの人口は300万人余りと少なく、必然的に政府の規模も小さくなる。日本の国会に当たる「国家大会議」は一院制で定数は76人、任期は4年。政体は大統領制と議院内閣制を併用した共和制となっている。大統領がいるが議院内閣制でもあるので首相が存在する。国家元首は大統領で、首相は行政府の長となる。大統領の任期も4年で、3選が禁止されている。現在の大統領は、2017年の大統領選で過半数を得票し当選したハルトマーギーン・バトトルガ(民主党)。直近の国政選挙は2016年に行われ、こちらは人民党が大勝した。各党の獲得議席は人民党65、民主党9、人民革命党1、無所属1となっている。モンゴルは民主党と人民党という2大政党によって政治は支配されている。この2党が2008年から交互に政権を握ってきた。つまり4年毎に国民は政党を選び直しているということだ。モンゴルでは政権与党が変われば、行政職員の顔ぶれも変わり、政策が大きく変わる。そのため、海外からは政情が安定していないとみなされ、しばしば評価を落としている。

国家大会議員を出身職業別で見ると、エンジニア26.3%、弁護士19.7%、会計士15.8%、教師10.5%、その他27.7%となっている。国会議員の大半が地方議員や政治家秘書、国家公務員出身の日本とは色合いがかなり違う。また、議員の4分の1以上がエンジニア出身というのも目を引く。日本では理系離れが社会問題化して久しいが、モンゴルでは男女問わず理学工学系で優秀な人材が多い。

国家大会議員を年齢別で見ると、25〜35歳が2人、36〜45歳が27人、46歳〜が47人となっている。モンゴルの平均寿命は69.82歳であり、年齢別人口のピークは25〜29歳の30万5千人ということを考えると、政治家の高齢化は否めない。ちなみに、年齢別人口で最も多いのは5〜9歳の31万6千人となっている。

国民の投票率も高い。1992年の民主化直後の国政選挙の投票率は95.6%だった。景気が良いと投票率は下がると言われるが、モンゴルへの投資が絶頂だった2012年でも、投票率は67.3%だった。モンゴル人の政治への関心の高さが伺える。もしくは政治に腐敗がはびこっているのも投票率の高さの要因かもしれない。Transparency Internationalが調査・公表している2017年の腐敗認識指数によると、モンゴルは180カ国中103位(36点)で、コートジボワールやタンザニアと順位を競い合っている。この調査1位のニュージーランド(89点)や20位の日本(73点)のスコアに比べると、順位は中間でもモンゴルには今なお深刻な腐敗があることが分かる。そしてその腐敗のほとんどは政治家絡みであり、選挙で与党が入れ替わったとしても政治家主導の腐敗は変わらないところにジレンマがある。

政治家がいくら選挙で美辞麗句を連ねても、当選したら自分の身内を政府の役職に就かせ、更には自分の会社に政府発注の事業を請け負わせる。政治家がこの調子なので、公務員の賄賂問題も後を絶たない。行政手続きを早く確実に進めるために窓口の役人に賄賂を渡すのは日常茶飯事となっている。「富める者はさらに富み、貧しき者はさらに貧しくなる」とは産業革命後のイギリスで資本主義の負の側面を見たマルクスの言葉だ。モンゴルは今まさにこの様な状況で、腐敗を取り除くことが喫緊の政治課題となっている。

中山拓