ミャグマル・エンフバドラル氏は、モンゴル国立大学を卒業しました。ソーシャルワークの学士号と社会学の修士号を取得しています。Sant Maral基金、賄賂対策庁の市民監視委員を務めてきました。市民参加、ガバナンス、ナショナル・アイデンティティに関する問題に関心を持ち、研究をしており、世論調査を専門としています。エンフバドラル氏の主導するNGO 総合開発ナショナルセンターは、有権者教育を促進するための“選挙博物館”、市民監視と情報の透明性を向上させるためのUnited Info Hub (www.uih.mn)プロジェクトを実施しています。また、青少年や若者の教育のためのオープンな情報源を作成するプロジェクトを定期的に実施しています。

J(ジャルガルサイハン): こんにちは。まずは、総合開発ナショナルセンターとはどういう組織か、何をしているかを教えてください。

M. エンフバドラル: こんにちは。総合開発ナショナルセンターは非政府、非営利組織で、政党に所属しない、独立した、若者が中心となったNGOで、2011年に設立されました。今年で設立10周年を迎えます。主な活動は、社会学的研究及び社会開発プロジェクトと、そのプログラム実行の2つです。社会が直面する問題を解決するリソースは、市民が既に持っています。そのため、市民、若者の能力を向上させることによって、社会問題を解決することが可能だと考え、それを目指して活動するNGOです。

J: 社会問題を解決するリソースは、市民が既に持っていると言いました。どのようなリソースがありますか?

M. エンフバドラル: 数多くあります。この場で全てを挙げるには時間がかかってしまいますので簡単に言いますと、スマートフォンひとつでガバナンスを監視することが可能です。しかし、多くの人はそれを知らない。自分たちはフェイスブックもツイッターも使うのに、ガバナンスを監視すると言うと、自分たちからは程遠いもので、それをするには特別な組織や知識が必要で、時間もかかると考えてしまいます。これは市民参加から自分を切り離す考えです。しかしそうではなく、誰もが持っているスマートフォンだけで監視はできます。そのためのプロジェクト、プログラムを私たちは実施しています。

J: 今日あなたを招待するきっかけとなった、あなたたちが実施しているプロジェクトUnited Info Hub(www.uih.mn)について伺います。United Info Hubは、ユナイテッド・インフォメーション・ハブとも言えますし、モンゴル語で国家大会議の頭文字をとった言葉とも読めます。「市民による電子的監視」と書かれていて、モットーが「投票、監視、改善」となっています。なぜこの活動を行うのか、具体的に何をしているのか、このプロジェクトについて教えてください。

M. エンフバドラル:  目的は選挙で選ばれた代表を監視することです。今までは監視のための制度、方法が分からずにきました。自らが選んだ代表がするべき仕事をしているかを監視するシステムを有権者に提供することによって、政治を改善する機会を与えています。つまり、次の選挙までに、これまでに選んだ人がどれくらい仕事をしたかを客観的に評価することが出来ませんでした。UIHは、授業への出席率のように生徒の学校での評価と同様、国会議員に対して客観的な事実に基づいて評価をする制度を提供しています。その意味では一般市民に提供する情報ですが、他方でこの評価制度を改善することによって、市民の代表となる者の責任の質を向上させるためのものでもあります。

J: 本来、国会議員を選ぶ理由は、社会問題を解決するための法律を制定させるためです。ですから、国会議員がこの肝心な仕事をしているかどうか、国会にきちんと出席し、積極的に参加しているかどうかは重要なことです。UIHのウェブサイトにアクセスすると、「経歴」「得票率」「立案、審議に参加した法案」「収入・資産情報」「政治的イデオロギー」等の情報が記載されています。モンゴルは民主主義に移行して30年ですが、この民主主義を確立させている人々が、どのように仕事をしているかを見せてくれています。得票率まできちんと記載されています。しかし、これらの情報は本来、国家大会議parliament.mnに載るべきですよね。

M. エンフバドラル: そうです。全て公開されていなければなりません。

J: parliament.mnとwww.uih.mnとは何が違うのですか?

M. エンフバドラル: まず、一つ基礎的な話に言及しておきます。先程も言いましたが、市民は政治への参加、ガバナンスを監視することを自分の周りから離して考えます。そして、「総合開発ナショナルセンターが国会、議員の仕事を監視するプロジェクト、プログラムを実施しています」と聞くと、「頑張ってください。」と言います。これは間違ったやりとりです。内閣、国会、国家予算を監視すべき主体は市民だからです。私たちがやっていることは、そのために必要な隠された情報を公開すること、または情報が複雑で分かりにくい場合、整理して簡潔にすることです。つまり、www.uih.mnは、探しても見つからない、どの法案にどの議員が賛成し、誰が反対したかという情報、会議の出席率などをまとめて、誰でもスマホでアクセスして見られるようなプラットホームです。市民と政治の掛橋になることを目指しています。

J: まず、parliament.mnでは、どの法案を誰が提出したかという情報は、その法案に関する詳細には載っていません。法律が制定されるまで、提出された法案のワーキンググループに誰が入っているかなど言及される場合はあります。次に、法案に誰が賛成し、誰が反対したか、なぜ反対しているかという情報です。国会が最終的に法律を制定する時に、画面にそれらの名前が流れるのですが、後から調べることは困難です。

M. エンフバドラル: そうです。一つ強調しておきますと、UIHはその情報を既に公開されている情報源から入手します。例えば、収入・資産情報は、賄賂対策庁のオープンソースから得ています。

J: 情報を収集する際、リンクを貼り付けますか。その内容を取ってきて記載しますか?

M. エンフバドラル: 内容を取ってきて記載します。

J: リンクを貼り付けると、リンク先や記載内容が無くなってしまうことがありますよね。

M. エンフバドラル: そうです。また、内容を取ってくるときは、分かりやすく分類し、整理します。情報の量が多かったり、複雑な表に記載されていると読みにくい場合があります。それらを3つに分類して、国会議員一人一人について分かりやすく載せます。年間の変化も見ることができます。

J: 先程UIHのサイトにアクセスし、改正労働法に関する情報をみました。例えば、アムガラン・アディヤスレン議員は、改正労働法に反対しています。さらに、男女共同参画法の改正、映画産業促進法に反対し、2021年の予算法に賛成しています。また、改正労働法に賛成した、反対した、投票に欠席した議員の人数も書かれています。欠席した議員の人数が賛成した人数と同じくらい多いです。例えば、フレルスフのように賛成か反対か不明の人もいます。本会議への出席率も記載されています。私が選んだ議員がどうしているかを見ることができます。例えば、経済学者ビャンバツォグトの提出した法案、「改正遊牧民および自営業者の年金保険の拠出補償について」があります。また、本会議に欠席した議員がいます。47回開かれた秋の定例議会に100%の出席率をおさめた議員も数人います。出席率が低い議員として、アナンドバザル12回、バトエルデネ11回、B.エンフアムガラン9回が欠席となっています。

M. エンフバドラル: 仕事をしていないということです。

J: そうですね。しかし、国会議員は出張や視察もあるかと思いますが、それはどうなるのですか?

M. エンフバドラル: それは「休み」と分類されています。病気や出張などは休みとなります。

J: では、先程名前の挙がった議員らは、何の原因もなく会議を欠席していることになりますね。

M. エンフバドラル: そうです。休みを取った議員も結構多くいます。

J: 会議を欠席するなら、なぜ選ばれたのかということが問われるわけですね。

M. エンフバドラル: 市民がこれを監視し、なぜ会議を欠席するのかということで評価をすることになったら、会議への出席率も上がります。

J: 休みが最も多い議員たちは、ウヌルボロル18回、アルダナーセド17回、フレルバートル13回の休みを取っています。

M. エンフバドラル: 秋期国会ですね。

J: 秋期国会だけでもこれです。私たちの生活は、国家大会議に私たちを代表する者に強く影響されています。例えば、特定の分野でビジネスを行う議員がいます。そして、その分野に関する法律の審議には利益の相反があるため出席しないという場合もあります。その場合の出席状況はどうなりますか?

M. エンフバドラル: そのことを公に発表するということはあまりありません。

J: 例えば、建設ビジネスに携わる議員は、建設に関する法律の審議に全て参加していますね。

M. エンフバドラル: そうです。自ら大学を運営している議員もたくさんいます。これには利益相反が発生しますが、教育に関連する法律の審議にはとても積極的に参加します。

J: あなたたちは既に議員たちを監視しているのですから、それに加えて「この人は教育に関連する法律について利益相反を有する」と記載することも可能ですか?

M. エンフバドラル: 可能です。このプロジェクトはまだ始まったばかりです。今後は選挙資金に関する情報も載せるつもりです。つまり、どこから資金を調達して、その分野の政策に対してどの様な意見を取り入れているかを監視していきます。それから、利益相反を詳細に記録する制度を導入すべきでしょう。労力、時間、資金を要しますが、十分に実施可能です。

J: アプリはありますか?

M. エンフバドラル: まだありません。ウェブのみです。

J: これからは当然アプリにもなると思いますが、これは私たちの生活を良くするため、貧困を無くすため、自由競争を産むため、腐敗を無くすための強力な武器となります。これを市民自身が資金を調達し、応援すべきだと考えた場合、そのためにどうすれば良いか、口座情報などの記載はありますか?

M. エンフバドラル: あります。ちょうど今、その情報を掲載しています。この類の活動の一番の問題は、ご存知の通り、資金調達です。政治家や民間企業、関連する当事者から寄付を受け取ることはあり得ません。国会という一つの機関を監視する際に、片方の手でお金を受け取って、もう片方の手で監視するということは不可能です。

J: メディア機関では利益相反が既に生じています。

M. エンフバドラル: ただし、このプロジェクト自体、国会議員に向けられたものというよりも、有権者、市民に向けられたものです。つまり、国会議員がやるべきでないことをやっていることの一つの原因は、市民の姿勢、教育に直接関連します。それは何かというと、国会議員が地域を訪問した際に、「私にゲルをくれ、私の子どもに仕事をくれ、大学に通わせてくれ」ということを要求します。やるべきでないことを要求された議員は、彼らも政治家ですから、得票のために全てを受け入れ、公約にします。あたかも76の内閣、76の予算があるかのように振る舞います(訳注:モンゴルの国会定数は76)。ですから、市民自体この姿勢を改めなければなりません。大統領、国会、内閣、知事、地方自治体、仕事の内容はそれぞれ何なのかを必ず区別して理解しなければなりません。

J: 民主主義、選挙に関する理解を向上させるためのツールにもなるわけですね。

M. エンフバドラル: そうです。若者が候補者に対して「私たちには余暇を過ごす場所がありません。体育館が必要です。」という話をするのは良くあることです。私たちはどうしたいかというと、次の選挙では若者が「労働法において若者の労働を促進するための審議にあなたは参加していません。なぜ、私たちの利益のために私たちを代表して参加しなかったのですか。〇〇回、会議を欠席しています。一つも法案を提出していません。あなたは一体何をしていたのですか。」という話をする人が多ければ多いほど、国会議員は仕事をちゃんとせざるを得なくなります。選挙では選ぶ基準が違ってくるからです。選ぶ側と選ばれる側、両方を改善するプロジェクトです。

J: 生活を良くしたいのであれば、自分が選んだ人が何をすべきかを知り、それをどのようにしているかを監視し、そして改善させよと。

M. エンフバドラル: そうです。次の総選挙までの4年間でデータは十分に集まります。そして8年間、12年間と続いていきます。選挙の投票のための参考にとどまらず、研究のための情報源にもなり得ます。

J: では、このプロジェクトの生成について話しましょう。USAIDが開催するLEAD Mongoliaプログラムに参加して集まった若者たちが、腐敗問題についてプロジェクトを実施しようとして始まったようですね。

M. エンフバドラル: そうです。まずは、LEAD Mongoliaプログラムの主催者、関係者らに感謝します。とても良いプログラムです。良い人材を集めることに成功しています。私は2020年のLEAD Mongoliaプログラムに書類を送って審査に合格し、参加することができました。数年前から情報は得ていましたが、2020年度が最後であることが分かり、応募しました。プログラムの参加者は、政策の種類を自分で選んで参加します。例えば、透明性、腐敗防止を向上させるための政策に関わりたいと考えた場合、同じ政策を選んだ若者たちと一つのチームになります。そして、チームメンバー全員がそれぞれプロジェクトを提案します。私たちの場合、ガバナンスを監視すること、開発プロジェクトを実施すること、研究を行うことが主な仕事であり、ボランティアでやっているものではありません。私たちには、何をすれば良いか、何をしなければならないかについてのアイデアはたくさんあります。ただ、その実施が遅れることが多々あります。私たちのチームは、9人から成るチームでした。そのうち6人が地方出身、3人がウランバートル出身でした。メンバー全員がとても優れた提案を出し合いました。私は今のuih.mn、当時はこのような名前にはなっていませんでしたが、とりあえず国会議員の仕事を監視する、彼らの活動をモニタリングするプロジェクトを実施したいと考えていました。チーム内で話し合った結果、このプロジェクトを実施することを決め、総合開発ナショナルセンターとLEAD Mongolia 2020プログラムが共同のプロジェクトとして実施し始めました。

J: アメリカ、ドイツなどでは、法案に提出した人の名前を付ける習慣があります。その人が亡くなっても、100年後でも法律はその人の名前で呼ばれます。これが責任向上にも繋がるようです。それから、その名前の付いた法案に対して誰がどういう意見を出しているかからも利害関係があるか、ロビイストが入ってないかを読み取ることが可能となります。あなたは以前、賄賂対策庁の市民監視委員を務めました。このことと今あなたが実施しているプロジェクトに何らかの関係はありますか?

M. エンフバドラル: 直接というよりも、間接的に関係します。私が務めた市民監視委員会とは、最近、話題になった公開評議会ではありません。賄賂対策庁と政府機関と市民が三者協定を締結して取り組むイニシアチブでした。

J: 今はないと?

M. エンフバドラル: 今はありません。2年間続きました。

J: それを引き継いだのが今、議論を呼んでいる公開評議会ではないですか?

M. エンフバドラル: 違います。公開評議会は元々あった体制です。私が務めた市民監視委員会はそれと並行して実施されたものです。

J: 腐敗との戦いは、賄賂対策庁や法務省だけがやるべきものではありません。全ての市民がこれに参加する必要があります。賄賂は社会におけるガンです。そのガンは全ての国民に直接、間接的に発生し、その人が働いて、良い生活を掴む機会を妨害しています。その意味でも有権者、国民がこのことを理解し、参加しなければならないという話に戻ることになります。

M. エンフバドラル: 私たちは2019年に賄賂対策庁の依頼で、高等教育分野における倫理に関する研究調査を行いました。その結果、腐敗に対して不寛容な文化が定着しておらず、腐敗と共存していることが分かりました。賄賂を渡した人やそれを受け取った人ではなく、賄賂を通報する人を一番非難しています。これは、古い社会、こういう捉え方はあまり個人的に好ましくないのですが、その名残りとも言うべき、問題を告発する人を悪く扱うという習慣です。例えば、暴力をふるった人よりも暴力を受けて、それを警察に届け出た人を男らしくないなどと言って非難するようなものです。

J: 内部告発の文化は遊牧民にあまりありませんね。

M. エンフバドラル: 性犯罪に対しても、いつ、どこで、どういう服装でいたかと、被害者を責めることが多くあります。こういう物事に対する考え方を変えなければなりません。そこから始めないと、つまり、選挙教育、有権者の教育に注目しないといけません。今のモンゴルは砂漠で大雨が降るのと同じ状況です。雨がいくら降っても、水が貯まらないのと同じで、いいアイデアがいくら出ても、それを採択し、教育制度に導入して効果的に使うことができずにいます。

J: 砂漠は保水できないので、雨を有効に使うことができず、洪水になってしまいますね。

M. エンフバドラル: モンゴルの社会はまさにそういう状態です。

J: この腐敗に関して、オユンエルデネ首相は「2年間で腐敗に対する不寛容の文化を定着させる」と宣言しました。これはどれくらい現実的だと思いますか?

M. エンフバドラル: 率直にいうと、私は政治家を信じるべきだとは考えていません。政治家を監視すべきだと考えています。いつかとても良い人が政治の舞台に出てきて国が良くなる。こういうことが良く言われます。良い政治家が現れることをずっと待っています。しかし、そんなことはあり得ませんし、あってはなりません。私たちにできることは、良い政治家を育て、監視することです。どんな政治家でも不正を働かない制度を、監視を通して作らなければなりません。つまり、政治家は難しい仕事でなければなりません。政治家だから偉そうにするというようなことは無くすべきです。そのための監視は市民が行うべきです。

J: 当選して2ヶ月で生まれ変わりますね。

M. エンフバドラル: あと3年後にはとても良い人たちになります。私たちの一つの間違いは、有権者の教育とは選挙の2ヶ月前に行う活動だとみていることです。研究機関も、国際機関も、政府機関も全ての機関がそうです。しかし、2ヶ月間ではとても間に合いません。オリンピックに参加する選手が、2ヶ月前から練習を始め、成功できるかということです。トップアスリートはオリンピックが終わった次の日から準備を開始します。有権者の選挙教育に関する議論をする時は今です。選挙前では遅すぎます。

J: そのことを若者に、中学校の時代から分かってもらうために何をすべきだと思いますか?

M. エンフバドラル: 先ほど話にあった、オユンエルデネ首相の掲げる目標は誤っているのではありません。ただし、それが実現されるためには、非常に広範な取り組みが必要です。一つは市民に対するもので、もう一つは独立して市民参加、監視を促進しているNGOを支持する慣習を確立させることが重要です。NGOは、資金調達の面で独立するために常に努力しています。NGO職員も政党と何の関係も持っていません。市民がこれらのNGO、シンクタンクに対して寄付を送ることによって、その組織の偏りのないレポートを確認するという慣習を根付かせなければなりません。それができていないというのは、モンゴルの市民社会形成の基礎が脆弱ということです。最近は、政府がNGOの資金調達をコントロールするようなことが議論されています。これはつまり、モンゴルの市民社会を窒息させるようなものです。これはあってはなりません。市民社会とは、必ずしも組織ではありません。市民の自由な活動が広義の市民社会に含まれます。結社の自由、言論の自由など。これらを制約し始めると、市民社会が無くなります。市民社会無くして民主社会はあり得ません。モンゴルはその憲法において「人道的な、市民・民主社会を作る」と、全ての国民がそのことを目指すべきかのようにしてこれを宣言しています。市民・民主を無くすと、人道的な社会は到底作れません。

J: 市民社会組織を支援した法人、個人の税を控除するなどという制度が先進国にはあります。1990年代の冒頭にこのことを悪用して、企業がNGOを作ることもありました。このリスクを計算しなければいけませんね。

M. エンフバドラル: 今は政治家が関連するNGOだけが補助金を受けています。総合開発ナショナルセンターは、まず、政府が主催する入札に参加しません。入札手続きが公平に行われることは滅多にありません。次に、ガバナンスを監視する仕事をしていて、その政府からお金を受け取ることはあってはならないことです。そうすると、残る選択肢が他の活動、出版などを通じて資金を調達する、国際機関の協力を得る、市民からの寄付で資金を調達するということになります。

J: 国際機関の中でも、世界中の民主主義の確立を推進するアジア財団、コンラート・アデナウアー財団がなければ、モンゴルの市民社会組織は、すぐにでも無くなるような状況にあります。

M. エンフバドラル: 今はそうですね。

J: 市民は寄付を滅多にしません。外国の機関からの資金調達を禁止して、全て停止することは危険です。例えば、宗教的機関、非政府組織という名前の下で運営されている大学もあります。

M. エンフバドラル: 全てNGOになっています。

J: 非政府組織、非営利団体という用語を明確にしないので、大学がNGOとして登録されているが営利団体となっています。本来、営利団体であれば、税金を払わなければなりません。

M. エンフバドラル: 強い抗生物質は良い細菌も殺してしまうのと同じです。宗教的活動、政治的活動を行っているNGOは規制すべきですが、健康に機能しているNGOを無くさないことが重要です。そのことまで問題を広くみている人はどれくらいいるかですね。

J: 子どもの体を洗ったといって、子どもを水と一緒に流してしまってはいけませんね。今日は重要なテーマについて話しました。市民社会を無くして民主社会は存在しない。市民社会を確立させるには、市民が代表を選び、監視し、改善せよということについて話し合いました。Uih.mnは、地方からの6人も含め、ウランバートル市民だけでなく、全国民がスマホでアクセスできるプラットホームを提案し、実現してくれていることに感謝します。ありがとうございます。市民による監視は、市民一人一人が行うべきことであることが分かりました。

M. エンフバドラル: 視聴者、読者の皆様には、このことに注目して欲しいと願っています。最後に追加しておくと、監視カメラが設置されている街には、監視カメラが設置されていない街よりも犯罪数が少なくなります。それと同じです。ガバナンスが一つの街だと考えると、そこに設置されるべきカメラが市民による監視です。市民が監視できると、予算の横領がなくなります。不必要な支出が無くなります。そのためのリソースは、市民自体にあることを理解し、現状を改善し、監視を確立させる必要があります。

J: 光のある街には犯罪は少ないということですね。ありがとうございました。

M. エンフバドラル * ジャルガルサイハン