南シナ海に面する中国海南省東部のボアオは、40年前に鄧小平が改革開放政策を実施し始めた頃は漁村だった。昔この村を父親に連れられ訪れたことのある習近平が先週、ボアオ・アジア・フォーラム開幕式で中国の経済開放政策について演説した。

このフォーラムの開幕式にはモンゴルのU.フレルスフ首相も出席し挨拶した。彼は中国の李克強第7代国務院総理(首相)の招待で中国を公式訪問し、北京で開催された「モンゴル・中国ビジネスフォーラム」にも出席した。

帝国

中国は先月憲法を改正し、国家主席の任期は1期5年を2期までとしていた規定を削除した。その結果、習近平国家主席は毛沢東に次いで長期間に渡り中国を指導することになった。

憲法には新時代の中国の特色ある社会主義思想を反映させ、「国家監察委員会」を憲法上の機関として設立し、あらゆる公職者の汚職を取り締まることになった。中国は新憲法の理念にそって「人類の未来に向けた共同体」を構築しようとしている。

世界経済フォーラム(ダボス会議)のアジア版となるボアオ・アジア・フォーラムは2002年から毎年開催されている。今年のテーマは「世界の発展のための開放・革新のアジア」である。このフォーラムでは海南省を自由貿易港として発展させることが公表された。

習近平国家主席は、40年間の改革開放政策の成果を振り返った。この40年で中国の経済成長率は年平均9.5%に達し、今日では世界第2位の経済大国となり、最大の産業、対外貿易、外貨準備高をもつ国となった。「社会主義市場経済」という「中国の特色ある共産主義」を構築した結果、7億人の国民が貧困から出した。今後は「人を中心とした発展」を最優先にし、供給に基づいた経済を発展させ、貧困を無くし、平等な社会を構築すると述べた。

経済を発展させ、より開放するために1)市場をより開放し、まずはサービス業、特に金融サービスの自由化を図り、銀行や保険機関の外国投資を増やす、2)魅力ある投資環境の創造と外国投資の規制緩和を図る、3)知的財産権の保護と強化、4)内需拡大に基づき積極的な輸入増加で貿易収支のバランスを取る。例えば、自動車の輸入関税を引き下げると宣言した。

「一帯一路」構想は世界80ヵ国と業務提携の協定を結んでおり、地政学的な駆け引きをすることなく関係国と協力できる最も幅広い舞台であると述べた。

ビジネス

2014年に習近平国家主席がモンゴルを公式訪問した際、両国は2020年までに貿易額を100億ドルにするという目標を掲げた。U.フレルスフ首相は今回の訪中で両国の貿易、経済における協力を拡大できる可能性が大いにあると述べ、貿易額を100億ドルにするために取り組んでいることを表明した。

両国の首脳が同席し、次の項目に関係する大臣が合意書に署名した。それらは、

  1. 産業・投資協力の構築における協定書
  2. モンゴル・中国の国境にそった地域開発の覚書
  3. 中国政府による20億元の無償資金協力の協定書
  4. ウランバートル市の中央排水処理施設を新規建設するプロジェクトの覚書
  5. エルデネト火力発電所の増設に関する融資協定書
  6. 中小企業分野での協力についての覚書
  7. 国境を越える違法貿易対策についての覚書
  8. 2018〜2021年に実施する教育交換・連携計画書
  9. スポーツ分野での協力についての覚書
  10. 「障害児の発達センター」プロジェクトの公式文書
  11. ブヤントウハースポーツセンターの利用増進プロジェクト

などがある。

ビジネスフォーラムでは、両国合わせて約600人の代表者が参加し、12件総額46億ドルの契約が締結され、14件の覚書に署名が行われた。例えば、投資額4億5千万ドルの300メガワットのブォールルジュート火力発電所の建設プロジェクトでは、モンゴルのボディ・インターナショナル社とチャイナ・ステート・コンストラクション・エンジニアリング社が協力することになった。また、ザブハン県テルメン郡における100メガワットの火力発電所の建設プロジェクトでは、ボグド銀行と内モンゴル自治区の銀行の間で3億ドルの融資が決まり、それにはウランバートルの廃棄物処分場の建設契約書も含まれている。

大規模なプロジェクトでは中国の国営企業が協力することが殆どである。モンゴルでは政権が頻繁に変わり、それに伴い決定された事も変わるのでプロジェクトは常に延期されるようになってきた。また、中国側は主にEPC方式(設計=Engineering、調達=Procurement、建設=Construction)で完成後に引き渡し(Turnkey)をしようとする。そのようなプロジェクトでは、モンゴル側は現場に常駐してノウハウを学び、中央管理室(CCR=Central Control Room)のプログラム(ソフトウェア)を受け取り、その所有権を必ず取得し、仲介裁判所の規定にある通り第3国を参入させなければならない。

2018年3月3日発刊のエコノミスト誌(9ページ)では、中国の政治状況について「中国は市場経済ではなく、ビジネスを政府の手足にして監視しようとする」、「個人の暮らしは比較的自由だが、習近平は社会の不平不満を監視する政治を構築」し、「実際、彼は政治や経済の独裁、政府による監視と紛争へと導き始めた」と評価している。

ダムバダルジャー・ジャルガルサイハン