今日、モンゴルの外貨準備高は30億米ドルに達した。財政赤字は2兆トゥグルグ、償還前政府債券が1兆トゥグルグとそれぞれ減少している。経済成長率は1%から4~5%に上がり、対外経済環境が回復し安定してきたなどの好条件が揃いつつある。

法律で貸出金利の最高限度を定めることへの反対意見

 今日、モンゴルの外貨準備高は30億米ドルに達した。財政赤字は2兆トゥグルグ、償還前政府債券が1兆トゥグルグとそれぞれ減少している。経済成長率は1%から4~5%に上がり、対外経済環境が回復し安定してきたなどの好条件が揃いつつある。

2017年のモンゴル経済は1年前と比べて外貨獲得高、つまり外国資産流入量は次のような変化があった。石炭輸出による収入13億米ドル、外国からの投資13億米ドルに増加。国際通貨基金による融資、外国政府からの借款、政府の国際市場向けに発行した債券、金(Au)の現金化、為替介入での外貨準備高増加など、40億米ドルの外貨が入ってくる流れができた。

金利が高いということはリスク水準が高いということである。政府は経済全体におけるリスクを減少させ、リスクを高くしている要素が何か、その対策と経済の根本的な問題に着目して取り組むべきである。問題に起因する現象だけをみて取り組むのは無意味だと思う。

そのためにインフレ率を低水準に抑え、外国資産が増加している良い環境で国内資産を拡張させる政策を取らなければならない。この時重要なのは消費だけでなく経済の構造を支援できる適切な改革へと導くこと。雇用と国内投資、貯蓄、中所得者層や農業、食料品の生産などに向けた資金調達を行う必要がある。政府はこういった政策をとる力を十分もっている。

法律で貸出金利の最高限度を定めることへの賛成意見

商業銀行の過去4年間の決算書をみると銀行自体が預金金利を支払えない状況になっている。モンゴル銀行(中央銀行)による報告書では、2017年末時点で全商業銀行は2400億トゥグルグの黒字だった。これを見る限り商業銀行は利益を上げ、活動も正常に行われているように見える。しかし、実態は全く違う。

なぜならば、2400億トゥグルグの利益を出すために、商業銀行は政府やモンゴル銀行(中央銀行)から6~7千億トゥグルグの資本注入を受けている。商業銀行は過去3〜4年間、企業への融資を主だった業務としていない。彼らは仕事をしていない。

政府は商業銀行が融資を行わない分、国民の税金から年間6〜7千億トゥグルグを銀行に資金注入している。この彼らが利益と言う2400億トゥグルグは、銀行業務活動において年間4〜5千億トゥグルグの赤字を出していることを意味している。これが今日のモンゴルにおける銀行制度が間違っていることの大きな現れである。金利規制法が採択されることで本当の銀行が存在しえる。

住宅ソフトローンは継続するかという質問に対して懐疑的な意見

国の財政政策において、政府は重点分野への財源を確保し、支援することができる。年率8%の住宅ソフトローンは膨大な財源を必要とするプログラムである。モンゴルでは預金できる中所得層を増やすために経済危機下で始められた政策である。2013年当時、銀行は自らの財源で平均年率16〜17%で住宅ローンを実施していた。それゆえ20年間で住宅を購入する人は3万人を超えることはなかった。

インフレと預金金利の関係性について肯定的な意見

人類の歴史において、世界中の国がインフレという問題に直面してきた。これはモンゴルだけではなく世界全体の問題である。モンゴルの金融市場及び経済において預金金利がインフレ率より大きくなければならないというのは、最も間違った認識であるが、政府やモンゴル銀行(中央銀行)及び商業銀行はこのように考えてきた。

現在、1億トゥグルグ以上の預金がある人の数は9,900人だが、それを99,000人、さらに990,000人に増やす必要がある。そうすれば国が発展する。政府は過去27年間、1億トゥグルグ以上の預金をもつ9,900人のみをインフレから守ってきた。しかし、インフレ率が8%になった場合、政府は全国民から財産の8%を奪っているということになる。そして全国民から奪ったそのお金で9,900人の預金をインフレ圧力から守ってしまっている。

証券取引所は今後発展するかという質問に対する希望的な意見

今日、モンゴルの金融市場は銀行の寡占状態である。証券取引所がどうして成長しないのか。その理由は3つある。

1. 旧銀行預金法では、銀行から1トゥグルグも取らずすべての銀行預金を政府が保証していた。

2. 不公平な税制が27年間続いた。銀行の預金金利収入に課税してこなかった。しかし、株式、証券で上げた利益には税金を課した。昨年、国際通貨基金の圧力を受け、初めて銀行の金利収入に課税するようになった。

3. 政府及びアジア開発銀行(ADB)、世界銀行(WB)が実施しているすべてのプロジェクト、その他の活動資金は商業銀行を通している。政府は証券取引所や証券会社を支援していない。基本的に政府の政策によって証券取引所はモンゴルでは発展していない。

ダムバダルジャー・ジャルガルサイハン