選挙をめぐる逮捕

6月11日、第13区から国政選挙に立候補している人民党のJ.エルデネバト元首相を逮捕する令状が裁判所から出された。これ以前に第29区から立候補している無所属のN.ノムトイバヤル氏も同じく逮捕された。

この2つの逮捕は違法である。しかし、選挙管理委員会も大統領も沈黙している。沈黙しているということは、これらの逮捕を許可しているということである。

国政選挙法第35条2項には次のような規定がある。違法行為が進行中の場合、もしくは犯行現場および違法行為をした場所で証拠と共に逮捕する以外の場合は、立候補者は選挙管理委員会の許可なく次の刑事捜査となる行為を禁止する。

35条2項1 刑事訴追、逮捕及び拘留。

35条2項2 家宅、事務所、交通手段(自動車)および身体における捜査。

火災リスクと保険制度

6月7日にノミンデパートで火災が発生し、消防隊は4時間かけて消火した。幸い人命にかかわる被害はなかった。しかし、消防隊の隊員2名が一酸化炭素中毒になり病院に搬送された。現在は火災の原因と損害規模の捜査が行われており、まだ結果が出ていない。

G.アリオンブヤン非常事態庁副長官:「今年、国立デパートに首都非常事態庁から定期検査が行われた。この検査では、避難口に商品が積み上げられ動線が妨げられていた。誘導灯には照明がなく、火災が発生した時に退避用の非常口が不明確で、消火器の設置も不十分だという違反が指摘された。そのため、非常事態庁は正式に改善要請書を送付し、上記の違反事項の一部を検査時に改善させた。

基本的に人が多く集まるところ、ゲル地区の密集地、工場、ショッピングセンターなどは常に定期検査が実施される。特に主張したいことは、都市計画の際に消火栓、つまり揚水配管(揚水ポンプ)の設置が反映されていない。そのため、高層ビルやショッピングセンターは必ず外部に揚水配管を設置するよう義務付けるべきである」と語った。

D.ムンフサイハン首都非常事態庁防災対策課課長:「消防隊に酸素マスクが十分(100%)支給されていない。消防隊員への酸素マスクの支給率は70%である。首都の3つの消防隊にハシゴ車が配備されている。このハシゴは30mまで伸びるもので、ビルの10階まで届く。10階以上の建物には消火栓や消火器具を必ず設置すべきである。

室内の無酸素状況で発生した火災の消火には泡を使う。しかし、建物の表側、つまり屋上などで発生した火災は泡では消火しない。ノミンデパートの火災では消火に水を使ったが、水は不足していなかった。消防車の水タンクの容量は4〜10トンである。だが街中の消火栓は全部で104本あり、そのうち74本は利用できない状態となっている。

国立デパートの建物は古いため、短時間で火災が広まった。毎年春や秋に検査を行い、防災に関する要請書を送っていた。今年は2月に検査を行い、検査項目の70%は達成されていた。これは建物の構造や電力などに関係するものである。

今回の火災評価は遅くとも14日後に出る。この火災でノミンデパートの6階は利用不可能な状態になっている。また、消火活動で5階の大半が水浸しになっている。1〜4階は火災や浸水の被害を受けていない。しかし、火災による煙は各階に蔓延した」と話した。

ノミンデパートの広報担当者:「今回の火災に関して分析チームが立ち上げられ取り組んでいる。火災評価は出ていないため、まだ何も言えない。そのため、火災評価が出た後に改めて発表する。現在、全ての情報が揃っていないので、入居店舗の賃借人と損害賠償について具体的な話はできていない。ノミンデパートの賃借人は全員保険に加入している」と話した。

賃借人:「私たちはみんな賃貸契約を結ぶ時に「ノミン保険」に加入している。商品の数量、価格、テナント面積などによって保険料は異なる。いくら保険に入っていると言え、どのように解決されるか全くわからない。問題はどのように解決されるかが不透明なところだ」と話した。

保険会社は、自社に関係する資産を保険に入れてはならない。単に保険に入っているということに過ぎないものになるからだ。例えば、ノミン保険がノミンデパートに関係する保険を担当することは内容的に無意味である。これを金融規制委員会も分かっている。ただ、指導することを恐れている。彼らにとって不利になるから。

モンゴルにあるすべて固定資産は安全性を保障できているか、その管理を専門監察庁が担っている。この組織はすべてを管理できないため、保険会社と協力し事前通知なしに監査するべきである。保険に加入していない不動産および動産はあってはならない。海外では国民に対して自宅、自動車、家具などの自然災害への備えとして保険に加入することを勧めている。物や財産の保険を国有ではなく民間企業が担っている。

再保険会社(reinsurance)は大規模で、主に多国籍金融グループである。モンゴルでも動産や不動産を賃貸で使用している場合は、当該資産を火災、水害、地震、その他の緊急事態や事故のために保険に加入させるよう契約書に規定されている。基本的に自然災害により個人および公共の財産に及ぼされるリスクを事前に防止する唯一のツールは保険である。

保険は金融市場で大部分を占める資産である。保険の積立は先進国の証券市場の主軸であり、証券取引の活性化の動機になる。大規模保険会社の株式は相対的に安定し、長期投資ファンドでもある。

どの国であれ、社会、医療、年金およびリスク保険基金は、当該国の証券市場の主軸である他にリスク管理における確実な財源になる。

では、モンゴルにこの保険の資金がどこに積み立てられ、どのくらい増加しているのか?そもそもモンゴルにどのくらいの不動産があるのか?その何割が保険に加入しているのか?保険をかける資産があるので、最低限それらは登記されているはず。では、固定資産の何割が登記されているのか?

建築分野の大きな特徴は、人間の安全性に直接関わっているため安全性を特に重視される必要がある。政府はこの安全性の監視を専門監察庁に任せているが、実際は役に立つというより迷惑、支援というより圧力になっている。

本来、建築の品質、安全性に関しては、建物の設計図を作成した会社が最初から最後まで責任を持って担当するのが国際的な標準である。

しかし、モンゴルの“監査する者たち”は、建物が完成した後に来て監査し、利用許可を与え、もしくは許可せずに賄賂を要求する。そのような状況であっても人々はすでに入居した後という場合が多い。

建築会社は建築のみを担うべきなのに、彼らは土地の入手、建設、入居受付、販売までを担っている。彼らは自分たちで自分たちの発注者になっているため、不具合があってもそれが露呈するまで何もしない。業務が細分化されていないせいである。

建築分野に携わる者たちが、誰が何を担当するかを明白にできれば、それぞれの分野で保険サービスを発展させ、保険の質や実施にも監査できるはずだった。こうなるように政府は企業を後押しするべきだが、政府自体が行うことではない。