D.スミヤバザルは経営学の学士をもっています。2008~2012年にウランバートル市議会議員を務め、ウランバートル市ソンギノハイルハン区の人民党委員会会長、人民党会議の会員も務めています。2016年から国家大会議議員に当選2回。2017年に鉱業・重工業大臣に就任しました。

J(ジャルガルサイハン): こんにちは。国会議員を兼任しながらの大臣の仕事はどうですか?
スミヤバザル: 負担は非常に大きいですね。しかし、時間をどのように管理するかで全てがかかっています。国会及び内閣の公務を兼任するには時間の管理と規律が大切です。褒められることもあれば、批判を受けることもあるので、その度に「免疫力」が上がっています。

J: 鉱業法は10年間で250回も改正されています。国会はまた鉱業法を改正しようとしています。鉱業法の何を改正しますか?
スミヤバザル: 鉱業法の改正に関しては税金に関する項目が多く挙げられています。鉱物資源利用料として徴収した30%を地方に交付しなければならない。しかし財務省はその30%を地方に配分していないことが、同法改正の大きな理由の一つです。また外国からの投資税率の変更です。モンゴルにとって鉱物資源による利益が上がるようにすべきという観点から、国会議員は鉱業法改正案を数多く国会に提出してきました。鉱業分野の法的環境は安定していなければなりません。鉱物資源にかかる税金による歳入より雇用を増やし、その他の税金から歳入を生み出す方法を重視すべきです。

J: どうしてそのようにできないのですか?
スミヤバザル: 鉱業・重工業省は一生懸命に取り組んでいます。2018年前半までに統一された鉱業法の採択を間に合わせるため、鉱業・重工業省の法務課、鉱物資源石油庁の専門家、アダム・スミス・インターナショナルから技術的なアドバイスを受けながら協力して取り組んでいます。鉱業分野における持続性をどのように保つかということに最も重点を置いています。

J: 地方では鉱業について正しい理解がなく、国内外の投資家に圧力をかけることがあります。原因は鉱物資源利用料の30%が地方に渡っていないこと、この30%の恩恵を市民が受けていないことです。だから鉱業分野に対する市民の不満が多いのです。あなたは国会議員、そして大臣としてこの問題を解決するために何ができますか?
スミヤバザル: 鉱物資源を利用したからには地方への資源収入の分配が適切に行われなくてはなりません。これに関する法律は採択されていますが、施行が不十分だから地方の行政と市民の批判が多いのです。鉱物資源利用料の30%を地方に交付する規定を作成し、各省の意見を集約して閣議で採択し、その閣議決定を基に調整されるべきだと考えています。

J: 鉱物ライセンスの交付活動はいつになったら順調に進むようになりますか?
スミヤバザル: ライセンス交付については、常に国民から疑惑を受けています。意図的に組織された一部の人たちからの圧力を受け、様々な利害関係から鉱業・重工業省と鉱物資源石油庁は常に疑われています。

J: あなたはこれに関してどの様な措置を取りますか?
スミヤバザル: これに関してオンラインで鉱物ライセンスの交付を実施しましたが、問題が発生して今は止めています。約2000社から鉱物ライセンスの申請がありましたが、サーバーが外部から侵入され一部が停止しました。この問題を整理してから公開入札を行う措置を取ります。それでも不調な場合はオークションを行う措置を取りたいと思います。そのために鉱物ライセンスの交付規定を作成し、閣議で採択されるように準備しています。

J: あなたは大臣に就任直後から多くの鉱山、精鉱工場に足を運びました。つい最近、タバントルゴイ鉱山からガショーンスハイト国境検問所まで160㎞に渡り石炭を積んだ大型トラックの渋滞車列でき、6000人の運転手が2週間足止めされた大きな問題が起きました。この問題をどのように解決しようとしていますか?
スミヤバザル: 中国と政府レベルで合意し、相互に国境検問所での国境通過の問題を解決するために話し合う必要があります。しかし、私たちはこれから一箇所の国境検問所を鉄道や陸路で通過することに拘ってはいけません。もし、中国が国境検問所での出入国を減らすと決めた場合はどうするかを考える必要があります。そのために私たちは石炭の輸出に関して、ドルノゴビ県のハンギ・マンダル国境検問所やウムヌゴビ県ツァガーンデル国境検問所を利用するようにしなければならない。つまり内モンゴルでも他の県と繋がる検問所を設けなければなりません。

J: 内モンゴルの国境検問所は開設されていますが、舗装された道路がありません。鉄道はどうしますか?いつ建設しますか?
スミヤバザル: 鉄道はガショーンスハイトまで建設します。他に国境検問所はありません。2018年に鉄道建設工事を始める予定です。タバントルゴイ鉱山の稼働率を向上させ、経済活動を促進させるためには、鉱山用の水資源や発電所、精鉱工場及び鉄道などの建設問題を総合的に解決していく必要があります。

J: それはいつ解決しますか?
スミヤバザル:  今年の2月に建設工事を始めたいと思っています。

J: オユ・トルゴイ鉱山の利益を上げるために投資家と協議すると言われました。また先日、オユ・トルゴイの契約書は見直す必要があるとD.ザグドジャブ鉱業・重工業副大臣が発言しました。これについてどうお考えですか?
スミヤバザル: オユ・トルゴイ契約書を破棄したり、根本から変えるということは難しいと思います。また副大臣の発言は鉱業・重工業省の見解ではありません。さらにモンゴル政府の見解でもありません。国際機関との契約において負った義務、そしてモンゴル国内法というものがあります。オユ・トルゴイに関しては法律に反したこと、見直すべきことはあります。これは否定しません。しかし、これは当事者同士が話し合い、協議した上で調整して行くべきという自分たちの考えを投資家との会談で表明しています。例えば、オユ・トルゴイ契約書におけるモンゴル政府の義務は、既に行った44億ドルの資金調達、さらに16億ドルの資金調達をしなければなりません。最初の資金調達となる6億ドルについて、私たちは分割して調達するという政府の立場を譲っていません。オユ・トルゴイの投資に関してモンゴル政府は最初に1億ドルの資金を出すことになりました。今後は1×3という方式で6億ドルが18億ドル、さらに6億ドルを足して24億ドルをリオ・ティントに拠出することができるということです。1億ドルというのは3億ドルの権利を与えているということです。私たちの立場はオユ・トルゴイと協議し、費用を削減し、利益を上げることです。昨日、リオ・ティントのCEOと会談し、モンゴル政府の立場を伝えました。モンゴル側の利益を増やし、オユ・トルゴイの費用を削減するように要望しました。また、費用削減に関してはオユ・トルゴイの取締役会に積極的に取り組むよう鉱業・重工業省は圧力をかけて行くことで合意しました。オユ・トルゴイの取締役会構成メンバーにはモンゴルの代表が3人います。彼らが積極的に取り組み、政府に情報を提供していくことによって、投資家は相互にどのような措置を取って行くべきかを話し合い、この大きなプロジェクトは動いていくと考えています。

J: オユ・トルゴイ契約書を変えるということですか?
スミヤバザル:  オユ・トルゴイ契約書に関しては話し合います。しかし、どの部分を変える必要があるのかが不確かな場合は契約書を変更しません。

J: あなたは海外の株式市場に上場しているモンゴルの鉱山を保有している外国企業に対して、モンゴルの株式市場に上場して下さいと言っていました。これはどうなっていますか?
スミヤバザル:  私たちは鉱物資源、とりわけ戦略的鉱山を経済的に有意義な利用をしたと思っています。閣議とは企業の株主総会にあたります。モンゴル政府は全ての大規模なプロジェクトにおいて株主です。そして国民に配当金を交付し、モンゴル国家資産ファンド(ソブリン・ウェルス・ファンド)という基金を早急に立ち上げなくてはならないと思います。そのためにエルデネスモンゴル社の運営体制を明確にし、持ち株会社にしてその付属としてモンゴル国家資産ファンドを設立する必要があると思います。私たちは国家資産ファンドと未来ファンドを混同しています。この二つは全く異なるものです。そのため国家資産ファンド運用法案を一日も早く成立させる必要があります。

J: 鉱業が発展した国では国家資産ファンドで積立てられたお金を国民に交付せず、大きくして国の財政赤字の補填に使う事例があります。
スミヤバザル:  はい、私たちもそのようにできると思います。そのためにルールをきちんと規定する必要があります。皆さんは私が言っていることが間違っていると思うかもしれませんが、国家資産ファンドは首相が監督すべきだと思います。アラブでは大規模な資源ファンドを首相、大統領が監督しています。ノルウェー政府基金は財務大臣が監督しているなど、政府が所有者となっています。しかし、モンゴルには資産登録というものがありません。エルデネスタバントルゴイ社は1072株を発行しています。会計ファイルの資産の部には登録されていますが、負債の部には登録されていません。

J: 国有ではなく、株式会社にして株式を売却するようにすればどうですか?
スミヤバザル:  そうですね。政府は監査します。例えば、エルデネスタバントルゴイ社の株式の20〜30%をモンゴルの株式市場を通して外国に売る権利があります。

J: これをするには何が必要ですか?いつしますか?
スミヤバザル:  青写真はできており、ワーキングチームも設置し、今は全員の意見を取り纏めているところです。ここでは証券預金センター、金融調整委員会は積極的に参加すべきだと思います。鉱業分野と金融分野が連携して組織体制を作っていくべきなのです。

J: モンゴルの鉱業における大きなプロジェクトは、政府が運営した方が良いですか?それとも民間企業の方が良いですか?
スミヤバザル:  政府は先導していくべきです。100%国有企業ではなく、株式会社は必要です。国民に優先株を発行し、他方では普通株を何十億枚でも発行して良いと思います。そして外国から資金調達をする時はどのくらいの株式をいくらで発行するかを決めれば良いでしょう。これは世界中で一般的な事例であり、私たちにはこの他に選択はないと思います。

スミヤバザル * ジャルガルサイハン