ウランバートル鉄道と開発の行き詰まりの打開策

エルデネト市へ鉄道で行った。一週間ほど前のことだ。ウランバートルを夜出発し、翌朝には到着した。用事を済ませ、その日の夜にはエルデネト市を出発し、翌朝ウランバートルに到着した。そのため、この旅は時間を節約し、渋滞や事故など自動車で移動する際のリスクも避けられ、とても良いスケジュールだった。このような機会を提供しているウランバートル鉄道に感謝すると共に、サービスにおいて改善すべきことが数多くあることについて、自分なりの意見をSNSに投稿した。その投稿が多くの人の目に留まり、そしてその人たちがどのように受け取ったのか、またなぜこのような状況が発生したのか、どのように改善すべきかについて詳述しようと思う。また、この出来事がウランバートル鉄道会社の新しい社長就任のタイミングと重なったことを付け加えておこう。

SNSは炎上した。

2021年11月30日、Jargal Defacto(フォロワー数9万4千人)のフェイスブック及びJargal Dambadarjaa(フォロワー数26万人)のツイッターアカウントで下記を投稿した。

「ウランバートル鉄道」のウェルカムのないサービスについて

モンゴルでは、車椅子利用者や高齢者は、スムーズに鉄道に乗車することができない。鉄道駅のホームをいつになったら高くするのか?また、70年待つのか!

なぜ、乗車チケットを3日前に買わなければならないのか?他国では、1ヵ月前でもオンラインで購入できる。このようにモンゴルの鉄道は発展から遅れている。

22:00〜07:00の間、なぜ列車のトイレに鍵をかけるのか?誰もがトイレに行く権利があるはず。ウランバートル鉄道のモンゴル人社長やロシア人社長にこの声が届き、改善されるまで皆さん拡散して下さい!

なぜ、このように投稿したかと言うと

若い人たちは気づかないことだが、ウランバートル鉄道の旅客列車のプラットホームがあまりにも低いため、高齢者や重い荷物を持っている人は、列車に乗り降りする際に他者の助けを必要とする。世界のほぼすべての都市や首都の鉄道の中央駅では、旅客列車の乗降口とプラットホームが同じ高さにある。ウランバートル鉄道は、元々軍事目的で建設された。そして鉄道建設から70年になるが、このような不便な状況を解決しないでいる。

旅行の準備のため、チケットを早めに購入しようとしたが、利用日の3日前からしか購入できないと言う。チケットが買えるかどうかが不透明だったので、予定が決まったら早めに購入しようと考えていた。世界の他の国では、すべての交通機関のチケットは、オンラインでいつでもどこからでも、一か月先のものでも購入できる。チケットの購入が間に合わなかった場合は、乗車した後からでも購入できる。

20時40分に発車した列車は、22:00時になったらトイレの鍵がかけられてしまった。翌朝まで鍵がかかったままだった。朝7時にトイレが開錠された後、トイレに行ってコンパートメントに戻ると、直ぐに座席を戻すように言われた。

2021年12月6日の時点で、投稿はフェイスブックで24万2千人に届き、何千もの肯定的又は否定的なコメントが寄せられた。これは、顧客とサービス提供者の双方の観点からも、モンゴルの鉄道サービスにおいて改善すべきことが数多くあることを明確に示している。

背後にある理由

ロシア・モンゴル両政府が共同で所有するウランバートル鉄道の活動が、発展への需要と供給に大きく遅れを取っている背景は、この組織の所有権と管理が、私たちが構築している市場経済の基本原則と矛盾しているからである。

ウランバートル鉄道は、ビジネスではなく、物流に追われている。価格が政府によって規制されている、赤字運営の独占企業である。この21世紀に列車は燃料や石炭で稼働しており、電化されていない。ロシアでは、すべての列車は電気で走っているが、ウランバートル鉄道の場合は、電化されていない。さらに、路線は単線であり、列車同士がすれ違う際、本線とは別の待機用の線路に止まる必要がある。

モンゴルの経済と貿易は、過去30年間で10倍に成長した。しかし、この鉄道会社の管理や稼働能力は昔と何も変わっていない。この会社は、路線もしくは車両のどちらかのみを所有しているわけではなく、その両方を所有している。したがって、他社の車両の乗り入れを認めておらず、将来的に発展する可能性は低い。これは、道路を建設しても自分の車だけを走らせ、他の人の車を走らせないようなものである。

しかし、モンゴル国の発展にとって、鉄道はどれほど重要であるかが、特に今日のパンデミックの中でますます明確になっている。ウランバートル鉄道は早急に改善されなければならない。いままでこの鉄道会社は政争の具と化し、選挙に勝利した政党の資金調達の手段となって来た。その結果、サービスがこのような状況になっているのだ。

従業員の給与は低く、業務への圧力は大きい。多くの従業員が給与ローンを抱えているため、サービスを提供することは彼らの誇りではなく、単なる負担である。例えば、「急いでいるならタクシーを使え」、「あなたはいくら払ってどんなサービスを求めているのか」、「列車の前で写真を撮ったから金を払え」など何百もの批判的なコメントが寄せられている。

どうするべきか?

鉄道の発展はとても重要である。鉄道が社会インフラであることを明示するために、1949年の契約を変更し、多くのことを明確にすることが重要だ。歴史的な理由もあるだろうが、なぜ自国にあるインフラを他国の政府と共同で所有し続けているのか、まったく奇妙である。

そして、既存の鉄道をモンゴルが独自で建設した他の鉄道と接続する際、その鉄道インフラの建設を政府が担当し、車両はそれぞれの鉄道会社が所有するようにすること。次に価格の自由化と必要な人のみに割引を提供する。各鉄道会社は自社収入で追加投資を実施できるようにする。こうして新しい機械や技術を導入する条件を整備しなければならない。

また、鉄道の複線化、電化、すべてのプラットホームの高さを引き上げ、旅客列車の改善、サービス範囲の拡大、Wi-Fiの提供、ウェルカムサービスの提供は必須である。

ウランバートル鉄道の新しい社長は、モンゴルの鉄道分野の発展に注視しなくてはならない。そのためには、社長専用の特別で快適な列車ではなく、すべての路線を普通席で、社長という身分を隠して旅してみることをお勧めする。ジョージアのミヘイル・サアカシュヴィリ大統領は、大統領に就任して「密かに」自分で自動車を運転し、同国の悪名高い交通警察の腐敗を断つことに成功したとことで知られている。

ダムバダルジャー・ジャルガルサイハン